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day1
「藤 が好きなんだ」
あ?なに言ってんだこいつ。あーアレ?罰ゲーム?
男に告ってこいって、それイジメだかんな。
友達選んだ方がいいんじゃねえの。
「冗談でも全然面白くねえんだよ」
「藤、冗談じゃなくて」
「はあ?マジ?──なら余計ねえよ。無理だ」
俺の反応は普通だろう。
だってこいつ特に仲良くもないただのクラスメイトだよ。
距離の詰め方間違ってんだよ。
背も体も自分よりデカイ野郎に陰気な顔で言われてみろって。
怖ぇつうの。
「……変なこと言ってごめん。これ使って」
ただのクラスメイトの夏越 が自分の傘を押し付けてくる。
なんか思いっきり傷付いた顔してるな。目が……真っ赤だ。
「いらね──いいって」
「そんなこと言わないで。じゃあ」
言うだけ言って夏越は昇降口から雨の中へ走り去っていった。
あっれ。俺なんか間違えたか。
どうでもいい奴だけど、あんな顔されたら俺の態度もどうなのよって気になってくるじゃん。
大体お前は女子じゃないんだからさ、される側の衝撃考えて告れよ。
受け身も取れねえ技、かけられたようなもんだぞ。
「あいつ自分は傘どうすんだっつーの」
すげえ降ってんのに。
……俺、別に悪くねえだろ。でも明日から気まずいよなあ。
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