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day3

 やっべえ、寝坊した。  すぐに着替えて家出て電車乗って……学校ついたら1時間目の……途、中。  ……また、同じ?今日も外は……雨だ。  けどさ梅雨なんだし雨くらい降ってて当然じゃね!?  ──スマホの曜日表示【Mon】って……嘘だろ。  やっぱり月曜日を繰り返してる。  くそ、頭ヘンになったのかよ。なにが、どうなってんだよ。  ◇◇◇  だから──おっさん気を付けないと危ねえぞ。あーやっちゃった。  アバンギャルドな髪型も3回目だと笑えねえんだな。 「藤遅刻なー。今月5回目じゃないか。たるんでるぞ」  先生残念。通算7回目でしたー。  夏越は……まあこっち見てるか。 「なあ古林、今日目の前でコケたおっさんのズラがずれたんだけど」 「マジでそんなことあんの。マンガじゃん」  連日見てるって事は言わずに話しても、その部分の反応がなくなるだけ。結局一緒。  お前にズラ話すんの3回目なんだけどな。やっぱ記憶がリセットされてんだよな。  今日は、寝ないで授業受けて  2時限目さぼって  おとといから喋ってない奴と話してとか、  色々してみたけど──何も変わんねえ。  何一つってワケじゃないけど流れが変わんないんだよ。  今日が終わったら明日はまた今日、なんだろコレ。  行動変えれば未来変わったりしねえの?  歴史が変わるくらいの事しなきゃダメなのか?  それか──死んでみるとか?リスク高すぎだろ。  死んで戻るとも限らないし。死んだら死ぬだろ普通。  そんでまた傘パクられてるしさー。  また夏越が下駄箱に居るんだろうな。  あいつにとって初回でも、毎日振る方はじわじわダメージ喰らうっつの。  好きでもねえけど嫌いでもないんだから。  あーそうだ、今日はあいつに会わないようにしてみるか。  しばらくしたら帰るだろ。  うっとおしいな雨。  せめて晴れてりゃ良いのに。無駄に鬱要素じゃん。  ──別に現状を受け入れたいわけじゃねえけど。  3日間、時間割も友達の弁当の中身も  会話の内容も同じで誰も不思議がらねえ、  こっちからアクション起こさないと同じ事しかしねえNPC状態って、もう諦めもするよな。  俺一人で騒いでも頭おかしい扱いだろ、どうせ。 「藤」  …………え、なんで。 「なにお前」  なんで夏越が教室に来るんだよ。 「靴がまだあったから。帰ってないって思って」  俺を探しに来た!?NPCが?  そんな行動初日になかっただろ。なんでお前だけ……。 「何の用」 「うん──俺ね、藤が好きなんだよ」  やっぱそれか。  流れは変わんねえな。 「──ごめん」 「いいんだ。俺が伝えたかっただけ。あのさ──駅まで一緒に帰って欲しい、友達として……図々しいかな」  ──!?  ルーチン通りじゃ、ねえ。  なんでこいつだけ範疇外の行動するんだ。  俺が好きだから?だから他のやつと違う動きすんのか?  それとも俺と同じでルールの外にいる?  でも放課後→告白ってパターンは変わんねえし。なんだ、何が関係してんだ。  でもいま俺の閉じた時間の中で不規則な動きすんのはこいつだけだ。きっとなんかある。  少しでも変わるなら──試したくなるだろ。 「おう、じゃ帰ろうぜ──」 「ありがとう。藤は優しいな」  そんなんじゃねえよ。  くっそ、騙してるみたいで気分わりいな。  ◇◇◇ 「あー俺傘ねえんだった」  俺が言うと夏越はいそいそと傘をさす。 「藤と相合傘できるなんて……夢みたいだ」 「はあ?キモいこと言ってんじゃねえ」 「遠慮しないで。こっち来ないと濡れるよ」 「うわ、おまえ力強えよ」  なんで俺が男に肩抱かれてんだよ。しかも夏越は満面の笑みだし。  つか、こいつってこんな風に笑えんだ。いつも根暗な面してるくせによ。  初日に振った時、死にそうな顔してたもんな。あん時は俺も横暴すぎたよ。  さすがにあんな顔、何回もさせるのもな……。それに比べればこっちの方がまだマシか。  なんか調子狂うけど。

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