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悲愛~微笑。
「改まって何を言い出すのかと思えば、そんなことか、ならば仕立屋を呼んで早速計ってもらおう……いや、サイズならぼくが計る方がいいか……」
彼はとても優しい。たとえ相手が卑しいオメガであってもアルファという尊い立場の自分と変わらず接してくれる。
ゼフィールは大きく頷き、それからしばらく考え込んだ。
なにせウェリーの肌にはゼフィールがつけた愛撫の痕跡が残っている。それに自分が抱いたことにより、ウェリー本人は少しも気づきはしないが艶やかな容姿へと変化を遂げていた。
「えっと、あのあのっ!!」
「なんだまだ何かあるのか?」
「できたら、仕立屋さんを呼ぶんじゃなくって、ぼくが行きたいです」
「いや、しかし……」
ああ、どうしよう。
今度こそ呆れられたかな……。
恐る恐るウェリーがゼフィールの様子を窺えば、彼は目を細めて微笑んでいた。
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