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第33話

「今日はね、自己紹介とか席替えとかして疲れちゃった。そっちは、弘樹のクラスは、どうだった?」 昨日と同様、校門で弘樹と待ち合わせをして。今日あったことを弘樹と話しながら、オレたちは約束していた通りスポーツショップまで向かう。 「俺、クラスの委員長になったわ」 「弘樹が委員長って、そのクラス大丈夫?」 弘樹のクラスもオレのクラスと変わらない授業内容だったらしく、弘樹は委員長になったみたいだけれど。クラスを纏める委員長に弘樹がなるなんて、オレは思ってもみなかった。 「立候補が誰もいなかったから、なんかノリで立候補したら委員長になっちった」 「そっか、頑張ってね。あ、そうそう……オレ、西野君っていう子と少し仲良くなったんだ」 オレは弘樹のように委員長に任命されたわけじゃないけれど、それでもクラスメイトと会話したってだけでオレの中ではビッグニュースだから。 つい頬が緩んでしまうオレに、弘樹はこう尋ねてきた。 「それって、同じクラスのやつか?」 「うん、西野君に朝話しかけられて。オレね、西野君からかっこいいって言われた」 嬉しく思った出来事を素直に話すオレと、なんだかとても不思議しそうな顔をしてオレを見つめる弘樹。 「……セイがカッコよく見えるとか、そいつはすごい視力の持ち主だな」 まるで、オレがかっこいいと思われることが可笑しなことのようにそう言って笑う弘樹にオレは西野君の容姿を説明する。 「西野君は、オレより小さくて可愛い男の子だった。だからきっと、オレがかっこよく見えたのかもしれない」 「いくらその西野ってやつがセイのことをカッコいいって言っても、俺から見たらセイは可愛いから」 「もう、せっかくオレがかっこいいって話してたのにっ!」 弘樹を見上げて話さなきゃならないオレの気持ちなんて、弘樹には一生理解できないんだって……そんなことを考えながらオレが独りで拗ねている間にも、オレたちの歩みは進んでいたらしく。 「セイちゃん、機嫌直して。目的地のショップ、着いたから」 オレの頭をくしゃくしゃと撫で、弘樹はそう言って立ち止まる。オレが思い描いてたスポーツショップのイメージと随分違うそのお店は、なんだかとてもオシャレだった。 「……なんか、すごくオシャレなお店」 思ったことをそのまま声にしたオレに、弘樹はニカッと笑って店内へと入っていくから。オレも弘樹の後を追うようにして、スポーツショップに初入店した。 「ここに売ってるシューズがどうしても欲しくてさ。母ちゃんに言ったら、お金渡すから買ってきていいって言ってくれたんだ」 「弘樹のお母さん、優しい人だもんね」 弘樹のお母さんとは、何度も会ったことがある。弘樹のお家に遊びに行ったときとか、泊まりに行ったときとか。いつも笑顔で、すごく親切にしてくれる弘樹のお母さんはとても優しい人だけれど。 「まぁ、小遣いは少ないけどな。どうしても欲しいって時は、渋々OKが出るんだ。基本的に、全部母ちゃんの匙加減で決まるけど」

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