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第4話

 此の世界は終わりの無い悪夢で、此処に居る君も間違い無く現実の君。  君を愛した事が私の罪。 「先に云っておくがな、逃して遣る心算なんざ元から無ェんだぜ」  君と運命を決した此の海で、再び君に廻り逢えた。  此の海でずっとずっと待って居た。  君が私の処迄堕ちて来る事を。  君が自分の意志で再び私を選ぶのならば、私だって二度と君を手離す事は出来ないから。  【二度と離れる苦しみを経験しないよう、今此処で永遠にして仕舞いたい】  アイシテル  アイシテル  アイシテル  アイシテル  アイシテル 「ーー手前は死んでも俺のモンだ」  窒息しそうな程永い口吻けの後、中也は太宰を抱き上げる。  水平線が橙色に染まり始める頃、漸く太宰は中也の腕の中で眠りに落ちた。 「ーーくしゅんっ」  其の後数日続いた悪寒と嚔が、此れこそが現実であると太宰に厭でも知らしめた。

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