4 / 4
第4話
此の世界は終わりの無い悪夢で、此処に居る君も間違い無く現実の君。
君を愛した事が私の罪。
「先に云っておくがな、逃して遣る心算なんざ元から無ェんだぜ」
君と運命を決した此の海で、再び君に廻り逢えた。
此の海でずっとずっと待って居た。
君が私の処迄堕ちて来る事を。
君が自分の意志で再び私を選ぶのならば、私だって二度と君を手離す事は出来ないから。
【二度と離れる苦しみを経験しないよう、今此処で永遠にして仕舞いたい】
アイシテル
アイシテル
アイシテル
アイシテル
アイシテル
「ーー手前は死んでも俺のモンだ」
窒息しそうな程永い口吻けの後、中也は太宰を抱き上げる。
水平線が橙色に染まり始める頃、漸く太宰は中也の腕の中で眠りに落ちた。
「ーーくしゅんっ」
其の後数日続いた悪寒と嚔が、此れこそが現実であると太宰に厭でも知らしめた。
ともだちにシェアしよう!