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第30話
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お粥を食べ終わると薬を出された。
「これってさて市販やないよね?」
薬は病院で処方された袋に入っている事に気付いた。
「うん、堂原先生が昨日来たけん」
「えっ!お金は?」
ふと現実に戻った。医者に診て貰っていたとは思わなかった。
「大丈夫」
「何が大丈夫と?お金かかったやろ?」
「先生がサービスって」
「は?何そのサービスって?」
「流星達が大きな病院が先生とこの息子さんの病院って言うたやろ?教えてくれたお礼げなよ?」
「なにそれ……」
修の説明に驚きながらもちょっとホッとした。
「ねえ、凪兄ちゃん大丈夫と?」
障子の影から流星と葉月が顔を出す。
「大丈夫だよ?2人にも心配かけちゃったね」
凪は2人に微笑む。
顔色もスッカリ戻りいつもの凪に流星と葉月は安心したようだ。
「こっちおいで」
2人に手招きすると修をチラっとみて様子を伺う。なかなか来ない2人に「どうしたと?」と首を傾げる。
「昨夜兄ちゃんに近くで騒ぐと凪が具合悪くなるけんダメって言われて」
修の説明に「もう大丈夫だから」と笑って見せた。
「うん、凪は大丈夫ばい?もう元気やけん風邪も伝染らんやろ」
修にも手招きされてようやく部屋の中に。
「もう遊べると?」
ワクワク顔の流星。
「まだダメやろ?病み上がりってやつやもん」
ワクワク顔の流星を注意する葉月。
「ふふ、なんか、葉月ってしっかりしてるよね」
凪はクスクス笑う。
「あ、確かに葉月って凪っぽい」
修も納得している。
「流星は修に似てるね……当たり前だよね、血縁関係者だから」
凪はそう言いながら笑う。
似てると言われて流星は喜ぶ。
「流ちゃんね修さんに似てるって言われると喜ぶとよ?」
「えっ?そうなのか?」
葉月の説明に照れくさそうに修は聞く。
「流ちゃん修さんが大好きやもん」
葉月の説明に少し照れて俯く流星。モジモジしている流星が可愛く見えてくる修。
「初め会った時はくそ生意気だと思うたとに可愛いとこあるんや?」
修は流星の頭をぐりぐり撫でる。
「だって、修ちゃんは俺の目標やもん!修ちゃんみたいに男らしくてカッコ良くて優しい男になりたいと!!」
流星は吹っ切れたのか力みながらに告白した。
「かーー、やめれ照れる」
修は柄にもなく照れている。
「流星が憧れるの分かるな僕も……修は確かにカッコ良くて男らしくて優しい」
凪はニコッと微笑むと修を見る。見られた修は顔を赤くして目が泳いでいるようだ。誉められるのは慣れていない修。
「凄く好きだなって思う」
凪の大胆発言に「ば、バカー!子供の前で」と耳まで赤くする。
「俺も修ちゃん好き」
「僕も!」
流星と葉月も後に続く。
「照れるけんやめろって」
たじろぐ修を見るのは楽しくて凪は子供達は修を褒めたたえた。
「あれ?そう言えば学校」
凪はハッとした顔で柱の時計を見る。時間は8時半過ぎている。
「やばい!遅刻」
凪は慌てて布団から出ようとして修に止められる。
「学校に休むって兄ちゃんが連絡してくれたけん大丈夫ばい?」
「えっ?修は?修は学校に行かんでよかと?」
「俺も休んだ」
「何で?」
「凪ば1人にしとうなかったけん」
その言葉に泣きそうになる。
ほらね、修は優しい。優しくて泣きたくなる。こんなに優しい修と別れる日が来るのだから。
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