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第100話 …したい

「とりあえず、こんなもんかな」 片付けも一段落ついたので客間をのぞきこむ。 灰谷、寝てる。 電気点けっぱなしで……。 布団の片方で大の字になって寝ている灰谷。 あ~あ。布団から足はみ出してるし。 無防備に眠る姿。 長い手足。 上下する胸。 繰り返される呼吸。 オレは灰谷の横にしゃがみこんだ。 閉じたまぶた。 薄く閉じられた唇。 のど仏。 灰谷。 灰谷。 灰谷。 胸の中で名前をつぶやいた。 キスしたい。 オマエの口の中に舌を突っこみたい。 ドロドロにかき回してオマエの舌を吸いたい。 のど仏にキスしたい。 オマエの胸に手を這わせたい。 オマエの腹にキスしたい。 もっとその下も。 オマエの性器を愛撫したい。 口に入れたい。 舐めしゃぶって、オマエの出す声を聞きたい。 オレの中でみちみちになってはじけるのを全部飲みたい。 その手で長い指でオレを撫でてほしい。 オレの体中。どこもかしこも。 そして……オレの中に挿れてほしい。 オマエとつながりたい。 オマエをオレのカラダの中で感じたい。 オマエで満たされたい。 オマエでイキたい。 欲望が膨れ上がった。 ダメだ。 オレは部屋に戻る。 止まらない。 オレは自分の下をこすり上げる。 ダメだ。足りない。 ベッド下に隠していたローションを取り出す。 城島さんとするようになってから、時々自分でも使うようになっていた。 尻にこすりつけて指を入れる。 「ハッ……ハッ……灰……谷……んっ……んっ……」 ダメだ。声が出る。枕に顔を押しつける。 「んッ……フッ……」 前をこすって後ろを抜き差しする。 「灰谷……はあ……灰谷……灰谷……」 止まらない。 隣りの部屋に灰谷がいる。 ヤバイ。マズイ。 思うのに止まらない。 「んあッ……んあッ……ん……ん……ああっ……」 一人でサカってオレはイッた。 なんなのオレ。 サイテーか。 明日美ちゃんと別れたって聞いてすぐこれか。 サカッてる猿だ。 もう。もう。もう。も~う。 「オレなんか……消えちまえばいいのに……」 自己嫌悪で死にたくなった。

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