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第1話
風呂に入って、冷えた体を温めた。
部屋に戻ると明るい携帯の画面には、健司 からのメッセージとスタンプが1件。
『なぁ、春人 。明日ひま?』
『暇やで。でも寒いから外出はイヤ。』
淡白なメールを打ち、携帯をベッドの上に投げ捨てる。
「はぁ、何で素直になれんのやろ…。」
明日はクリスマスイブや。
去年、健司はとクリスマス、クリスマスイブ共、彼女の【じゅりちゃん】と過ごしていた。
「やのに、なんで今年は僕なんやろ…。」
髪の毛を乱暴にガシガシと掻く。嬉しいはずなんやけど、素直に喜べない。
「じゅりちゃんの代わりなんか…僕、嫌やで…。」
そう思うと、僕は素直に健司からの誘いを喜べやんかった。
だって、 僕が好きなんは健司やから。
◇ ◇ ◇
健司は僕の幼馴染。やから昔っからよく遊んどった。
でも僕は、健司を友達と思った事ない。
「僕の片想いにも気づかんとか…。健司のアホ…。」
未だに僕は健司への想いを閉じ込めたまま。
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