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Mr.RIOTがいなくなった
どこの街にも一つはある、バカとヤンキーしかいない掃き溜めのような学校。
「私立 荒城 学園高等学校」、通称「ジョー高」がまさにそれ。
そしてこういう学校には支配者が存在する。支配者の周りには強い者が従わされている。
街の路地裏ではどっかのヤンキーが弱者から金を巻き上げている。
「お前こんな地味でよくジョー高で生きてんな」
「あ、あの……」
「いいから出すもん出せよぉ」
ドカッ
3秒以内にヤンキーの要望をきけないと、こうして脇腹にお見舞いされる。蹴られた男子学生はうずくまる。
「ぐ…うぅ…」
「おいおい、痛がる演技とかいいからー」
「お財布ちょーだい♡」
男子学生は痛みで動けない。しかし動かないと更に痛みが与えられる。男子学生の意識が朦朧とし始めた、時だった。
ドカッ バキッ ガーンッ
派手な音がした。
「おいおいおいおい、喧嘩すんなら無抵抗のパンピーじゃなくて俺とやんねぇか?」
ヤンキーたちの視線の先にいたのは、赤い髪を左側に流して右側は剃り込みを入れ、ジョー高の制服を着崩し、首に赤いチョーカーをはめて、古い金属バットを片手に笑う男。
その赤い姿に被害に遭った男子学生は魅せられた。
「ほら、ライオットが暴れる間に逃げるよ」
「え…あ、あなたは…」
男子学生が別の男から声をかけられた途端、先ほどまでカツアゲをしていたヤンキー集団は地獄絵図のような有様にされてしまった。
少し離れたところで男子学生は改めて助けてくれたその人を見た。
「もしかして、ジョー高の…」
「ふふふ、内緒だよ。それに君を見つけたのはライオットの方だから」
「ライオット……そんな、俺なんかを…」
男子学生は震えた。
ジョー高の生徒が口にする「ライオット」
それはジョー高のNo.2で「特攻隊長・Mr .RIOT 」と恐れられている最恐ヤンキー
――鯉沼 ユウト
ライオットには絶対誰も敵わない。
武器はなくとも拳で相手を殺せる。
だが彼が拳を振り回す、喧嘩をする相手は弱者を蹂躙する輩に対してだけだった。
それから数日後、ジョー高に大変な知らせが飛び込んだ。
――Mr.RIOTがいなくなった
と。
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