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第15話

通話ボタンを押すと、向こう側でコール音が鳴る。 しばらくしてコールが途絶えた。 『もしもし?』 「お前だろ、孝太送り込んだの。」 俺がそう言うと、電話越しにクスクスと笑い声が聞こえてくる。 『やっぱりそっち行ったんだ。確かに孝太に情報流したのは俺だけど、まさか速攻で行くとは思わなかったよ。』 そう言って笑い続ける叶に俺はため息をついた。 「来るに決まってるだろ。孝太だぞ?お陰で面倒くさい事になったんだからな。」 そう言う俺に、叶は笑い続けていた。 「……で?何か分かったのか?」 『何が?』 「輝の事だよ。どうせお前の事だから、孝太に輝の事を調べさせたんだろ?」 『そのつもりだったけど、孝太曰く、『分からない』だってさ。』 「……なんだよ、それ。」 『孝太が言うには、何の情報も無いんだって。生年月日から年齢、家族構成まで何も無いらしい。データ上では、白神 輝なんて人物は存在してない事になるんだよ。』 輝が存在していない?それってどういう事だ? 『孝太は悔しいからもうちょっと調べてみるって言ってたけど……って、神?聞いてる?』 「え?…あ、悪い。」 『……ねぇ、本当に大丈夫?』 「何が?」 『その輝って子、本当に危険じゃないの?』 ……輝が危険、か。 俺は輝が来てからを思い出す。 「……まぁ、大丈夫だろ。」 俺がそう言うと、電話越しにため息が聞こえてきた。 『神がそう言うなら信じるけど、何かあったらすぐ知らせてよ?』 「あぁ、分かってる。」 そう言って俺は電話を切った。 電話を終えてリビングに戻ると、輝がさっきの位置から動かずに食べ終えたプリンのカップを眺めている。 「まだ食べるか?」 そう声を掛けると、輝の体がビクッと震えた。 途端に輝の目が泳ぎだす。 「……だ、だい、じょうぶ…です。」 そう言って輝は俯いてしまう。 やっぱりこいつが危険とは思えない。 でも多分、訳あり…だよな。 これまでに輝に何があったかは分からないけど、しばらくは様子を見るしかないよな。 そんな事を考えてると、ピコンと携帯が鳴った。 見ると叶からメールで『近いうち、俺も輝に会いに行くからね(^_^)v』と送られてきた。

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