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第14話

孝太を追い出して俺はため息をついた。 多分、孝太は輝の事を探りに来た。 頼んだのは叶……だよな。 俺は輝を見る。 輝は俺が買ってきたプリンをモクモクと食べていた。 プリンを食べてる輝は表情が少し和らいでるように見える。 やっぱり甘いものが好きなんだな。 そう思うと、少し和んで口元が緩んだ。 「輝、孝太と何か話した?」 そう聞くとプリンを食べてた輝の手が止まって、途端に目が泳ぎ出す。 「……何も…話して、ないです。」 輝は辛うじて聞こえる声で言う。 「でもさっき泣いてただろ?孝太に何かされた?」 そう聞くと、輝は小さく首を振る。 「……急に……知らない、人が入ってきて……びっくりして……」 そう言って輝は俯いてしまう。 孝太が何もしてないって言ってたのは、あながち嘘じゃないんだろうな。 輝は極度の人見知りだ。 て言うか、これを人見知りって言っていいレベルなのか…… 輝は人と関わる事を極度に嫌がる。 俺でさえ、近付く事を許されたのはごく最近だ。 それまでは話はしてくれるものの、近付くと逃げるし、話をするって言っても目は合わせてくれない。 まぁ、それは今もだけど…… ただの人見知りでここまで人を拒絶するようになるのか? それとも、やっぱり何かあるのか? 「なぁ輝?お前、ここに来る前はどこに居たんだ?」 そう聞くと、輝の表情がみるみる青ざめていった。 「……ぁ…ぼく、は……」 ガタガタと震えて、今にも泣きそうだ。 「あぁ、良い!無理に話さなくて良いから!」 そう言って俺は輝の頭に手を置こうとした。 その瞬間、輝はビクッと体を震わせて、目をギュッと瞑った。 俺は輝に触れることなく、手を引いた。 やっぱり、輝には何かある。 そう思って俺は、携帯を持って席を立った。 そんな俺を輝は不安そうに見てくる。 「ちょっと電話してくる。お前はゆっくりプリン食べてろ」 そう言うと輝はプリンに視線を移して、言われた通り、またモクモクとプリンを口に運び始めた。 ただ単に素直なのか、言うことを聞くように躾られたのか…… 輝に対して色々考えはするけど、何も確証がない。 俺は自分の部屋に入ると、携帯の電話帳から番号を出して通話ボタンを押した。

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