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第5話
物思いに耽っていたら声がかかる
「お風呂ありがとうございました」
「…っ。あぁおかえり。もうすぐ飯できるけど食べれそう?もう食べてき…っ…」
「泣いてるの?」
思わず言葉を失った理由は男が俺を後ろから抱き締めていたから。
「…泣いてないよ…」
「泣いていいよ。無理しないで」
そう話しかけながら俺の向きを変えた男は突然俺の唇を奪った
「大丈夫だから。ね?」
風呂上がりで少し体温の高い男に抱き締められて何故か気が抜けてあれから一度も流してなかった涙を溢した。
「ごめ…少し…胸かして…」
初めて出会った男にすがる。そっか…苦しかったんだ…悲しかったんだ…俺あいつのこと本当に好きだったんだ…
男は泣き止むまでずっと抱き締めてくれていた
「もう大丈夫だよ。ありがとう。初めて会ったのにごめんね」
「いいよ。連れて来てくれたお礼?になるのかな?」
「十分なお礼だな。ありがとう。そういやぁまだ名前聞いてなかった。俺は暁 明星。君は…?聞いてもいい?」
「うん。俺は深更 栗花落(しんこう ついり) 」
「どんな字書くの?」
綺麗な文字で書き綴られた文字
「綺麗な名前だね。俺好きこの名前」
「ありがとう」
「何て呼べばいいの?」
「呼びやすいようにどうぞ。」
「ん~…じゃあ…はな?はなちゃん」
「その呼ばれ方は初めて。女の子みたい」
「いや?」
「ううん。嫌じゃないよ。花好きだしじゃあ俺は"ほしちゃん"って呼ぼう」
「俺もその呼ばれ方初めてだわ。取り敢えず飯食おっか」
「先にお風呂入っておいでよ。ほしちゃんも濡れたでしょ?」
「そういやそうだね。なら行ってくる。先食べてて」
「うん」
さっきまでの重たい気持ちもはなちゃんに泣かせてもらえて楽になった。
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