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第85話

羽柴君はされるがままに俺の手で着替えさせられ、あっという間に俺好みの姿が出来上がった。 ぶ、ぶかぶかっ!! ブカブカの彼シャツならぬ、彼スウェットー!! 「お前の服デカいな。うわー、俺男として自信なくすわ。色々と……」 体の大きさから筋肉のつき具合といい、なんちゃらかんちゃらブツブツ……。 羽柴君は愚痴りながらスウェットの上だけ着せられて、萌え萌えな姿を俺だけに見せてくれていますっ!! あ、一応下着は穿かせましたよ。 そりゃもちろんノーパンの方が萌えるけど、チラリと中が見えた日にはまた襲ってしまいたくなるわけで。 それに風邪ひかれても困るしね。 脳内でノーパンか否かの葛藤劇場を繰り広げていると、羽柴君が俺の袖をくいっと引っ張った。 スウェットの袖からちょこんと出てる萌え袖!! 可愛すぎっ!! 「な、俺のケータイ取って」 「制服のポケット?」 「うん」 脱ぎ捨てられたスラックスの尻ポケットからスマホを取り出して羽柴君に手渡した。羽柴君はメールでもしているのか何か文字を打ち込んでいるみたいだ。 「よし、これでオッケー」 「ん?何が?」 羽柴君は何やら満足そうに微笑んでいる。 「今日泊まっていいだろ?明日は休みだし。な?家には友達んちに泊まるってメールしといたから」 ニコッと首をちょっと傾げて俺を見る。 心臓がきゅんとする。 きゅん死にするのかな俺……。 「ダメか?」 「ダメだなんて、そんな!もちろんいいけど!」 「だよな!あ、そうだ、お前何で独り暮らしなんかしてんの?」 「えーっとそれは……社会勉強の一環として……」 いや、嘘です。 オタグッズと同人誌の在庫が自宅に置けなくなったからやむ無くこちらへ越してきた次第であります……。 「へぇ。親がさせてくれてんだろ?羨ましすぎる!!」 「ずっと、居ていいよ」 羽柴君の頬がみるみるうちに赤くなる。 照れてるんだ。可愛い!可愛いっ!! それもこれも、羽柴君と甘い時間を一緒に過ごすためだったのかと思うと、やってて良かった同人活動!と思える。 「なぁ、明日デートする?」 「デデデデデート!?」 「なんだよキモいな……。あ、もちろんメガネは無しでな!」 「いや、眼鏡を外すと色々と面倒なことが……。まぁ羽柴君がそういうなら外してもいい。けど」 「けど?何だよ」 「このまま外に出ると始終女に付きまとわれるんだ。煩わしいと思うけど、それでもいいのなら」 羽柴君は口を開けてこっちを見ていた。 すぐに眉間にシワを寄せ唇を尖らせる。 「お前のその眼鏡の役割はそれなのか!?女除け!?うわーイヤミな奴ーっ」 じとーっとした羽柴君の視線が痛いけど、本当にそうなのだから仕方無い。それもあってか、俺は二次元に走ってしまったのだ。 「……でも、俺の瀬名に付きまとわれるのも、ヤダ」 だだをこねる子供みたい。ホント可愛いなぁ。 羽柴君の頭に手をポンと置くと、その手を取って頬を擦りよせる。 本当にネコみたい。 「じゃあさ、オシャレ眼鏡買いにいかね?」 「うん。羽柴君が選んでくれるなら何でもいいよ」 薄い眼鏡じゃあまり効果がないけれど、羽柴君がいいのなら、それでもいいか。 あ、そうだ!ついでに羽柴君に猫コスチュームをプレゼントしようか。 バニーとかも似合いそう! そんな俺の妄想は羽柴君に伝わっていたみたいで。 「瀬名、今エロいこと考えてたろ」 「ははは……、バレた?でも安心して。羽柴君で妄想してただけだから」 「ばかだな」 俺達は微笑みながらどちらからともなく、唇を合わせた。 end

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