1 / 8
第1話
「佐藤!」
「ん?あ、高橋くん」
いつも練習に使っているスタジオに向かう途中、ギターを背負った少年がコンビニから出てきた。
どうせ袋の中身は特大コーラだろう。
それをラッパ飲みするのが佐藤鷹人 の練習中のルーティンのようなものだった。
同じ場所に向かってるのに離れて歩く理由も無く、自然と佐藤と横に並ぶ。
そうすると佐藤は嬉しそうに僕に微笑んだ。
「今日は早いんだね、高橋くん」
「ん?別にいつも遅れてねーし」
「そうだね、時々だね」
何がそんなに面白いのか肩を震わせている。
僕より三つ年下の佐藤は24歳で身長は172。
僕は未だ165cmだ。佐藤はギリギリまだ伸びる可能性があるけど、僕は流石にもう伸びない。
いつも見上げる形になるのが気に入らない。
僕と佐藤は同じバンドの仲間で、
僕がボーカル。彼はギター担当である。
他にも2人いるけど、1番付き合いが長いのはこいつだった。
ともだちにシェアしよう!