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祭りの後(完)
恐ろしいほどの狂躁から醒め、設楽はケーキを食べながら「だったら先生の誕生日に俺をプレゼントする……」とまだ涙ぐましい計画を立ててみる。
「先生の誕生日って、いつ?何で去年教えてくれなかったの?」
「あ?俺の誕生日、すげぇお前と近いよ?」
「え?いつ?」
「一月十五日」
「へ~、昔の成人の日だね……って、一月十五日?」
その数字に、不吉な物を感じて大竹の顔を見つめると、大竹も引きつった笑いを見せた。
「……そう。センター入試直前です……」
二人は仄暗い顔を見合わせ、盛大な溜息をついた。
都内でも有数の進学校の受験対策担当である大竹が、家に帰る暇もないほど、倒れるんじゃないかというほど忙しい時期。それがセンター入試の前後デス……。
「……悪い、設楽。去年もそうだったから知ってると思うけど、俺三箇日過ぎたら、当分お前と会う時間無ぇんだわ……。放課後来られても俺いないから……」
「……そうだったよね……。去年も先生学校のどこにいるのかも分からないような状態だったよね……」
だったら尚のこと……。
「だったら尚のこと、今のうちに一緒にお風呂入らない!?!?!??」
「入らねぇよ!」
「いつも温泉一緒に入るじゃん!お願い!」
「入らねぇって!」
「バスバブル入れても良いから!!」
「だから、絶対それだけで終わらないって顔してるから、絶対入らねぇよ!!!」
妄想と違ってどこまでもつれない大竹に、設楽は派手な泣き声を上げた。
「うわあぁぁぁん!妄想だったら一緒に入ってくれるくせに~~~~~!!」
「だから、俺現実だから!!妄想と現実を一緒にすんなっ!」
「うわああぁぁぁぁん、先生のイケズ~~~~!!!」
お正月の夜空に、設楽の遠吠えが、星と共に煌めいておりましたとさ……。
~おしまい~
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