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勤めを終えて

「ただいまー……」  同居人の帰宅により、真島マヤは週末の楽しみであるドラマ鑑賞を一時中断した。脱いだ背広をソファの背に掛けて、ため息をつきながらとなりに座った矢島タカが、ぐらりと頭をマヤの肩に預けてくる。重い、と、マヤが身をよじったことで、体重を預けていたタカの頭がマヤのひざ元にくずれ落ちる。 「くさいな」  加齢臭とも、汗臭さともちがう独特なにおい。 「ストレスちゃう?」  ストレス、ということばに、タカのこめかみがひくりと反応する。 「もうやめるわあの会社、絶対やめる」  やめる、やめる、と、いうやつほど実際に辞めない。吐き出すことでタカが自分の調子を整えようとしていることを知っているマヤは、愚痴がはじまるといつも彼の気が済むまで聞くようにしていた。もの書きを生業とするマヤにとって、営業職の苦悩をすべて理解することは難しいけれど、聞き役に徹することならできる。  ひととおり出し切ったのか、喋らなくなったタカに風呂に入らないのかたずねると、重い上半身を持ち上げ、脈絡もなく顔を寄せてきた。そういう流れかい、と、思いながらも、舌を出して迎え入れたマヤの口に表面的に触れ、再度ひざ元にずるずると崩れていく。 「なんやねんこいつ」  いつも意気揚々と仕掛けてくるのはタカのほうだが、今日だけはようすが違うらしい。疲弊した相手の弱った姿に、やましい気持ちがわいてくるのをマヤは自覚した。ぐったりした男の股間に手をかける。 「……お前さ」  タカが力なく失笑し、マヤの手を制する。 「なんでこういうときだけやる気やねん」  下を脱がそうと試みる手を払いのけ、今日はやらん、と、横向きに体をかえして本格的に睡眠の体勢に入る。  動くに動けないマヤがスマホをながめているうちに、社畜は疲れのあまりひざの上で寝静まった。手持ち無沙汰のマヤは、改めていたずらを仕掛ける。閉じた太もものあいだに手をさしこんでみると、意外と気づかれないので、チャックを慎重に下ろしていく。股間を握ると、さすがに目を覚まして反射的に太ももで手を挟んできた。かまわずに揉みつづけると、みるみる成長していく。 「元気やな」 「っ……疲れとんねん」  それきり喋らなくなり、静かに息を切らし始める。手淫を受け入れたとみたマヤは、上半身を起き上がらせ、うしろからしっかりと抱きかかえる。ベルトを外して、下着ごしにさおをさすってやると、うなり声をあげた。シャツをまくり、腹筋に手をはわせて凹凸を堪能する。マヤの腕に顔をこすり、体をゆらしながら感じるタカ。下着に手を入れてじかにしごくと、アー、と、善さそうに声をあげる。従順なようすが貴重に思えたマヤは、手淫を片手にスマホを取り出した。気づかれないように慎重に動画の録画を始める。目をつむり刺激に夢中になっているタカは、眼前にカメラを向けるられていることに気づいていない。それどころか先端を親指でえぐられたことで大きく声をあらげてしまう。録画をとめて、ええの撮れた、と、画面をみせると、ええて、と、スマホを押しのける。その反応が面白くて、耳元で当人のあえぎを聞かせながら、ものをいじる。タカは音声元から顔をそむけて嫌がりながらも、相乗効果はあるようで、反応が目に見えて大胆になっていった。手をとめてじらすと、はやく、と、ねだる。はやくいかしてくれ、と、自ら腰を動かすみだらなようすに高揚して手を動かす。  絶頂が近くなったようで、ああ、ああ、と、タカの声がうわずってきた。首すじに吸い付いて、感じやすい先端を重点的にこする。両手を駆使し、一方の手でたまを揉みしだいてやった。我慢ならないようすで、ああぁ、あぁぁ、と、叫びはじめる。いよいよ射精感から逃れられなくなり、体をちぢこませ、 「出る出る出る……っ」と、低くつぶやく。  タカの首を愛撫し、ものを丹念にしごきあげる。手淫をはげしくさせ、あぁーー…、と、マヤもいっしょに声をあげて臨場感を煽った。刺激され続け、ものがこらえきれずに精をふく。タカは、びく、びく、と、全身をふるわせながら、連続的にふき出してマヤの手を汚した。

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