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なつやすみ

 ロビーは夏期休暇を楽しむ客であふれている。重役と思われる紳士、外国人観光客や裕福そうな老夫婦など、見掛けるのは落ち着いた大人ばかりで、藤野ハルキはただでさえ居心地が悪いのに、同行するのが白い背広姿の男となると気が気ではなかった。ふたりは傍からどう見えるのだろうか。部屋へ案内する従業員の表情を注視するも、教育された笑顔からは何も読み取れない。  従業員が部屋の設備の説明を終えて去ると、ハルキは浴室へ逃げた。入浴は家で済ませていたので必要無かったが、居てもたってもいられなかった。間を持たせるべく、鏡面張りの浴室の隣に並ぶ便座に座る。目玉だけ動かして周りを見渡す。ホコリ一つない、隅々まで清掃の行き届いた新築のホテルだ。ここで自分はこれから大人たちと汚らしく肛門性交をする。そう考えるとおのずと尻穴がうずいた。  高校生のハルキが教員の久野タロウと関係を持ち、半年が経つ。今春の赴任当初から、すでに性対象が同性であるとお互い暗黙に理解していて、好みも合っていたふたりの関係はすぐに進展したけれど、良い歳をしたタロウが未婚と知れると、一部の生徒の間で男好きと噂され始め、校舎内での密会がよりハイリスクになった。タロウの多忙も重なり、限られた環境で中々思い描くような行為には及べず、盛りのハルキは満たされていなかった。そんな中、学校が長期休暇に入り、ようやく校外で会う機会が訪れたのだ。  バスローブを身に纏い意気揚々と浴室から出たハルキは、目の前の光景に驚いた。タロウが寝台に知らない男と親密に寄り添っている。ふたりはこちらに気が付き微笑んだ。 「初めてなの?」ヨシザワと名乗るその男はゆったりとした口調で尋ねる。「いや、何度かあるよ」タロウが答えた。  寝台のそばで立ち尽くすハルキのもとに、タロウが近寄り、背後から抱きかかえる。タロウの年季の入ったごわごわとした左手が、ぬるりとハルキの股座へ伸びてくる。手を振り払い拒否することもできたし、タロウもヨシザワもその隙を与えていたけれど、ハルキはそうしなかった。 「てっきり嫌がるかと」 「こういうの憧れていて……」  素直な気持ちだった。3Pで妄想にふけることは日常茶飯事なハルキにとって、またとない機会だ。  ハルキは、恥じらいを隠すために自らキスを仕掛ける。股間に自分の左手を重ね、さらに相手の右手が覆いかぶさり、上下左右に揉み合う。無言でひとつのものを一緒に育て上げていく。タロウがハルキの手をどかして包皮を優しく撫であげる。ハルキは唇をかんで感嘆の声を抑える。このようすを第三者に視られていると考えると、ものはあっという間に勃ちあがった。  愛撫を受けながら寝台まで導かれる。背後から体重をかけて押し倒され、ヨシザワの股のあいだに突っ伏すかたちになった。ハルキの眼前に、ふたりの行為をみて膨れた股間がある。ヨシザワが、これみよがしに自ら下着を少しだけ下へずらす。折れ曲がった太いものがなんとか下着の中に収まっている。あと数ミリ下にずらせば……。本能の赴くまま、ハルキは下着に手を伸ばした。布がものを抑えられなくなり、びよ、と勢いよく飛び出す。目が釘付けになり、口の中で唾液が生成されていくのが分かった。タロウに指示され、ずる剥けのものをくわえる。四つん這いにさせられた尻を叩かれ、穴をひくつかせると、欲しがっている、と受け取られた。尻穴がひらかれて挿れられる。圧力に何とか耐えていると、ヨシザワに頭をつかまれ、口の奥まで突っ込まれた。なんとか奮闘しているうちに後ろで律動が始まる。んふ、んふ、と鼻で息をするも、ずんずんと押し寄せる快感で咥えていられなくなり、口を離してしまう。 「ぅははあ!」  ゆっくりと動いてくれるものだと驕っていたハルキは、容赦ない深い突きに笑いにも似た情けない声をあげた。 「あっ、あはっ、あはっ」  重い一発一発がハルキの尻をたぷたぷと揺らす。再びものを口に押し込まれて、口と尻穴を掘られる。荒い口淫に耐えきれずむせるあいだも尻を叩かれ、律動が早まる。 「うぅっううううぅっ」  寝台が大きく揺れ、軋む音が激しくなる。  ハルキの頭上で大人ふたりがキスを楽しむ。のしかかってきたタロウがヨシザワのものを舐め、ヨシザワと舌を絡めたり、再びものに必死に吸い付いたりする横顔を間近で見たハルキは、その初めて見る欲に狂ったようすに高まり、一緒になってヨシザワのものを舐めまわした。タロウがべちべちべちべちっ、と、これまでになく素早い律動を畳み掛ける。ハルキも負けじとがつがつ腰を振る。  タロウのものが体内から出ていき、体位が変わった。今度はヨシザワに背後から抱きかかえられながらものを挿れられ、タロウと目を合わせながら犯される。タロウよりも太い。振動でハルキのものはぶるんぶるん回転する。背後から、どうだ、と訊かれ、でかいです、と半泣きでやっと答えた。  射精感が込み上げてきて、ハルキが朦朧とした意識でものに手を伸ばすと、ふたりがからだのあちこちを愛撫をして射精を促進してくれた。意識を集中して自分のものを素早くしごく。  ほどなくしてハルキは絶頂した。続いてヨシザワも手淫でタロウの口に目掛けて吐精する。タロウがそのいったばかりのヨシザワの先端を吸い上げる。ヨシザワが苦しそうに、んんんーっ……、と、鼻にかけてひときわ艶かしく鳴く。その声を聞きながら、タロウが自らの手淫により射精をする。  一連の流れをぼんやりと傍観していたハルキは、自分も奉仕しなければと近寄り、見様見真似でタロウの先端を丹念にしゃぶった。

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