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シン⑦

「うぅ……」 「ほら、観念して早く脱ぎなよ」  (わたる)は真っ赤になって唸りながら、のろのろと下着ごとスエットのズボンを下ろす。いくら親友とはいえ、裸を――あまつさえ、尻を向けるというのはただごとではない。  これからその親友に尻の孔を弄られようとしている。  しかも割と自主的に。  なんだ、この状況。  下半身裸になった亘は(のぞみ)に言われるがままベッドに上半身を預け、膝立ちになって望に尻を向けていた。  望の手には「このままだと痛いと思うから、借りるね?」と台所から持ってきたサラダ油がある。 「亘、自分で尻掴んで、開いて」 「うぅ……こんなのイジメだ……」  今にも泣きそうな声の亘に、望は小さく笑った。  指サックをはめた指先を油で濡らし、亘の後孔に触れる。 「ひゃうっ!?」  突然敏感なところに触れられて、亘は自分でも聞いたことがないような甲高い声が出た。望は更に笑うと、入り口を控えめにつついていただけだった指をいきなりずぶりと挿入する。 「あっ……!?」 「あ、意外とすんなり入るもんだね」  するんと指一本呑み込んだ亘の後孔は、異物を取り除こうときゅうきゅうとナカを伸縮させる。 「キツ……っ、めちゃくちゃ締めてくるけど、亘、キモチーの?」 「ばっ……! んなわけあるかっ、やっぱりヤダ! 抜けよっ!」 「え~? 今更止めるとかナシでしょ。えっと……前立腺ってどこだ?」  望はモバイルの画面を見ながら、後孔に差し入れた指を動かした。 「ここか……? 違うな、ここ?」 「あ、や……っ、望っ、バカ、やめ……」 「ん~……難しいなぁ、ここかな?」 「ああぁッ……!?」  敏感な箇所を探り当てられ、亘の声は裏返った。  望の「おっ、みっけた」と嬉しそうな声がする。次の瞬間にはそこ一点のみを集中して擦るように指を動かしはじめた。 「あっ、あ、あ、あ、やだっ、そこやだっ、望ぃ……」 「え? ココでしょ? 気持ちよくない?」 「やだぁ、なんかへんっ……!」 「えーうっそだぁ。亘の声、気持ちよさそうだよ?」 「そんなわけっ……あ、あ、あっ、やっ」  ちゅくちゅくと淫靡な音とともに後孔を指で突き上げられ、亘はまごう事なく喘いでいた。  だが、そんなこと絶対に認められない。  勃たなかっただけでも亘の自尊心に大打撃だというのに、尻で感じてしまうなんて、そんな自分を認めるわけにはいかなかった。  望は亘の背中に覆い被さると、尻を弄っている反対の手を前に伸ばし、亘のペニスを触ってその感触を確かめた。 「う~ん、そんな簡単には治んないかぁ」  ふにゃふにゃのままのペニスを、やわやわと握りながらも後孔を弄る指は止まらない。いつの間にか指は2本に増えていた。 「あっあっ、あンっ、望ぃ、もぉやだっ……あ、や、もぉやめて……っ」 「なあ亘……俺、やばいかも」 「あっ、あ、えっ? なに……っ?」 「俺、勃っちゃった」 「はっ……!?」 「お前がエロいから、勃っちゃった、って言ったの」  亘は我が耳を疑った。 「ね、挿れていい?」 「い、いいわけないだろっ……!」  亘の声を無視し、望はずるりと指を抜き去った。その感触すら快感で、亘の口から「ふぁっ」と名残惜しそうな声が出た。  カチャカチャという音にぎょっとして振り返ると、指サックを外した望が自身のズボンの前を寛がせているところだった。そして望の立派な勃起ペニスが……。  この数か月、大勢の勃起ペニスを見てきた。  だが、さすがに親友の〝それ〟を見ることになるとは思わなかった。  太過ぎず細過ぎず、長過ぎず短過ぎない。バランスのよい姿形は亘の理想形だったが、そんな事実も別に知りたくなかった。  望はサラダ油を自身のペニスに塗りつけると、ヒクヒクしていた亘の後孔にそれを宛てがう。 「あっ……やだ望、ダメだって」 「んーごめん、無理そう」  そのまま一気に貫かれ、亘は声にならない悲鳴を上げる。  指とは比べものにならない圧迫感に「ぐっ……」と息を詰めた亘は、ベッドに額をこすりつけシーツを掻きむしり必至に耐えた。 「やば……キツ……でも、亘のナカすげー気持ちイイ。亘のことも、気持ちよくしてあげるね?」 「あ……いいっ。いらないからっ、早くちんこ抜けっ……」 「それは無理かな。だって亘のナカ気持ちよすぎ。ずっとナカにいたいくらい」 「バカッ……!」 「大丈夫。亘の気持ちよくなれるとこ、ココだよ? ちゃんと、俺のちんこでも擦ってあげるからね」  望は腰をゆるゆると動かしながら、伸ばした手を亘のシャツの中に差し入れる。平らな腹の上を伝い、目的の場所までたどり着くと、悪戯な手は亘の小さな胸の突起をきゅっと抓った。 「やぁっん!」  女のような高い声が出て、亘は羞恥で真っ赤になった。  後ろから覆い被さるように交わる望は、ふふっと亘の耳元で笑うと、そのままクリクリと胸の突起を捏ねまわす。  客のオヤジどもに弄られるようになり、亘の乳首はすっかり敏感になっていた。  突起を押し潰すように捏ねられ、その度にビリビリと腰に電流が走ったような甘い痺れを感じる。 「あ、やっ、望ぃ、やだよぉ、なんか変っ! あ、あんっ」  乳首を可愛がる手とは反対の手で、ふにゃふにゃのペニスを扱かれた。器用にあちこち責め立てながら、望はずんずんと亘の奥を突いてくる。 「あ、もぉだめ、望っ、あ、のぞみっ……!」  亘は体をガクガク震わせて、ふにゃふにゃのままのペニスから射精する。続けて望も、ぶるりと体を震わせ射精した。  そのまま、亘の最奥で。 「あ、やば……」 * 「なぁ、亘。ごめんって。怒んないで?」 「うるさい、あっち行け、馬鹿」  腹の奥に射精され、亘は当然の如く腹を壊した。  亘は望に背を向け〝怒っています〟ポーズを崩すことなく、ベッドの上でぐったりしている。ナカに出したことはもちろん、半ば無理矢理挿入に至ったことに亘は怒っているのだが、望はそんなこと思いもよらないらしい。 「ごめん、亘。もうナカでは出さないから」  背を向けた亘の腹を摩りながら、望が言った。 「そーゆー問題じゃねーよ!」 「じゃあどういう問題だよ」 「だって……あんなの、もうセックスじゃねえか。あんなこともうすんなよ」 「えっ、もうしないの?」  よくなかった? と本気で驚いているらしい望が、ベッドに乗りあがって亘の顔を覗き込んできた。これはさすがに閉口する。 「亘の治療でしょ? 次はちゃんとするから……お腹治ったら飯奢る。だから機嫌直して。亘の好きな牛丼は? 味噌汁も付けちゃう」 「……ポテサラも頼んでやる」  むっつりと返事をした亘に、望は安堵の笑みを見せた。 「うん、卵も付けていいから」  我ながら簡単なやつだと思うが、そもそも望を前にして、いつまでも怒っているポーズなど続かないのだ。

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