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葵生川 望⑦

 口に出すと、義松は頬を染めたまま「そりゃあ、アオイさんと一緒にいたら、そういう気分になっちゃいますよ」とかなんとか、ごにょごにょ言っている。望はにやっと笑い、しどけなく、そして挑発的に義松に凭れかかった。 「それで? 筧クン、今日はどんな風にしてほしいの?」  やはり、今日の義松は様子がおかしい。  セーターのリブに沿うように望の背中を撫でた後、義松は大きな掌で包み込むように、胸を丸く撫で回す。セーターの上からでも分かる程、望の乳首がつんと立つと、今度はそこを重点的に指先で擦る。あっ、と思わず熱い吐息を漏らすと、恍惚と溜息を吐いた義松に、あっという間にセーターを剥ぎ取られた。  初めて店にやってきたときからは考えられない程の物慣れた様子に、望は密かに笑みを浮かべた。義松の掌が、余すことなく望の素肌を撫で回し、ひしと抱く。何かに急き立てられるかのように、余裕のない様子だ。  どんな風にしたいかたずねた望に、義松は「今は一秒でも早く、アオイさんに触りたいです」と言って身を乗り出した。その様子がいつになく切羽詰まったように感じたのだが、店に入ってきたときの元気のない様子と関係あるのかは不明だ。  そしてかれこれ三十分近く、ただひたすらに上半身を執拗に吸われ続けている。 「アオイさん……可愛い……好きです、アオイさん……っ」  熱に浮かされたように呟きながら、舌先で胸の粒を転がされる。 「んっ」と声を上げ思わず義松の頭を抱え込むと、アオイの体を抱く腕に、更にぎゅっと力が篭った。 「アオイさんに、触りたい……」  今十分に触ってんじゃねえか、と思うものの、義松の追い詰められたような様子から、口に出すのは憚られた。やっぱりいつもの義松ではない。今の彼は、何か――よく分からないけれど――酷く焦っているようだった。 「ねえ、俺もあんたに触りたいんだけど……今日は触らしてくんないの?」  拗ねたような口調で、それでもそっと優しく義松の頭を抱き締める。義松はハッとして望の体を離すと、ばつが悪そうな顔をした。 「す、すみません……っ、俺、がっつき過ぎですよね……っ」 「いや、あんたががっついてるのはいつものことじゃん。そんな焦んなくても、俺はここにいるだろ? ほら、下脱げよ」  義松は一瞬悲しげに表情を歪め――なんでだ?――それから、おずおずとベルトを外し、下着姿になった。照明を落とした室内でも、先走りに濡れたグレーのボクサーパンツが見て取れる。望はその染みに手を伸ばし、外まで染みた先走りのぬるぬるとした感触を楽しみながら、義松の先っぽを弄った。大袈裟なほど肩を震わせる義松に、望はくすりと笑みを浮かべた。 「すっごいぬるぬる。もうちょっと触ったらすぐイッちゃいそうじゃん」 「あ……っ、アオイさん、だめですっ……、ゆっくりして……っ!」  望は笑みを深め「ああ、そうだな。ゆっくりしてやるよ。時間いっぱい、たっぷりな」と義松の上に跨り、先程と同じように義松の頭を抱え、胸を押し付けた。  その一方で、後ろ手で義松の下着の中を探り、硬く勃起したペニスを掌で包み込む。  イかせない程度にゆるゆるとペニスを撫で、可愛がってやると「ん……っ、アオイさん……、それ、やばい……っ」と熱い吐息混じりに、再び望の胸に吸い付いた。

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