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「……っ……ぐ」
最初の日に使用した軟膏と同じものをダンケルハイトの尻の中に塗りたくっていく。
これが本当に最良の方法なのかは分からないが、他人に相談出来る事柄でもないので同じ物を使用し続けていた。
「痛かったら、どんな手段でもいい……伝えてくれ」
「……ん」
私の言葉に、ダンケルハイトは僅かだが頷いてみせた。
この行為の時だけは、普段は頑ななダンケルハイトも返事を返す。
友との同衾を続けてしまうのはその唯一の意思疎通に縋ってしまっているからでもあった。
私の言葉に友が答える――
ほんの少し前までは当たり前であった事が、今はこんなにも愛おしい。
「ぅう……ん……」
ダンケルハイトの声は相変わらず掠れたままだ。
その声だけでは善がっているのか痛がっているのかの判断が付かない。
だが、ダンケルハイトは男だ。
口付けの時から勃ち上がっていた性器は今も硬いままでいてくれて、安堵する。
分かりやすい反応を見る度に、ダンケルハイトが男で良かったと結論付ける。
そもそも女であれば互いに騎士として出会うことも無かっただろう。
「ダンケルハイト……そろそろ、挿れてもいいか?」
「……」
愚にも付かない事をつらつらと考えている内に、ダンケルハイトの尻はだいぶ解れていた。
私の問いにまたしてもダンケルハイトは頷いて答えてくれる。
まるで求められているかのような錯覚に陥り、私の股間は限界まで膨張していた。
これを尻に挿れるのは相当な負担であることは想像できる。
出来る限りゆっくりと、ダンケルハイトの様子を見ながら腰を進めた。
「ん~……ぐ……ぅ……」
「はっ……すまないっ……ダンケルハイト」
自身にもたっぷりと軟膏を塗りたくってはいたが、やはりダンケルハイトは辛そうだ。
それでも引き返すことはせず、腰を止めてダンケルハイトの様子が落ち着いては挿入するという工程を繰り返した。
「あ゛……うぐっ……ぅう」
「もう、少し……だ」
ダンケルハイトは相変わらずの無抵抗でいるので、そのまま下生えが尻たぶに当たるまで押し込んでしまう。
詰めていた息を吐き出し、ダンケルハイトの様子を見ると、荒い呼吸を落ち着けようと深呼吸を繰り返していて、しばらくすると収まっていた。
腕の中の身体を眺める。
全身を汗でびっしょりと濡らしているため、月光を受けたダンケルハイトの肌は輝いていた。
その真白な輝きの中では、肌に張り付いて濡れた黒髪と、潤んだ紅の瞳が一層妖しく引き立っている。
以前よりは衰えはしたが、鍛えられた肩や腕周りが男の身体であると物語っているにも関わらず、私の目にはダンケルハイトは何よりも美しい存在として映っていた。
「……ダンケルハイト」
名を呼びながら、友の身体を抱きしめる。
互いの激しい心音が耳に響き、やがてゆっくりと穏やかなものに変わっていく。
ダンケルハイトの身体は熱く、触れることで生きているのだと感じとることが出来た。
挿入した性器と友の内蔵が隙間なく密着し、友の中に居るのだと伝えてくる。
そうして、しばらくはただダンケルハイトの身体を抱きしめ、ひたすらに生きている証を欲した。
私にとってこの行為はもはやただの性処理ではなく、友の生命を感じる事に重きを置いていた。
全てを裏切り、一人身勝手に死んでしまおうとした友が、今は己と最も深く繋がっているのだと感じていたい。
「……っ」
「あぁ……すまない」
どれほど経ったであろうか、ダンケルハイトが私の背中を緩く叩いて離れる様に促す。
密着していた上半身を起こし正常位の形をとると、ダンケルハイトは軽く腰を揺すり始めた。
「……ふっ……ん」
その顔は真っ赤で、軽くこちらをねめつけている。
早く動けと催促しているのだ。
行為を終わらせるためのものだと分かってはいるのだが、まるでダンケルハイトに求められている様で、私の中の穏やかだった熱は一気に燃え上がってしまった。
「今……動くからな」
「ん……」
理性でもって押しとどめて了承だけは得る。
恥じらうように瞼を伏せてダンケルハイトは頷いた。
入室した際は全裸で堂々としていた男が、今は乙女のように羞恥に震えている様が私の欲望を加速させる。
「ぐっ……うぅ」
「っ……痛くはないか?」
私がもたもたしていたために、軟膏が少し乾いてしまっていた。
気遣うようにダンケルハイトの額を指先で撫でながら問うと、ふるりと小さく首が振られた。
またダンケルハイトの意思を受け取った事が嬉しくて、私の心中の穏やかな部分が花開くように広がる。
友の腰を優しく抱き留めて、ゆっくりと抜いていく。
そのまま静かな波のように腰を前後に動かせば、溶けた軟膏が水っぽい音を立て始める。
尻を掘られては痛いだけではないかと不安ではあったが、何故かダンケルハイトは初めての日から私の性器を咥えこんでも勃起を保っていた。
どういう理屈かは分からないが男の尻の中にも女の様に感じる部分が存在するらしく、私はダンケルハイトの反応を見ながらそこを探り当てていた。
「ふっ……ん……」
ダンケルハイトの鼻にかかった声と、私の荒い息がベッドの天蓋に反響して響き渡る。
お互いにろくに声を上げはしないが、それで興醒めすることはない。
静かな性交は月光の魔力も手伝って、何故かとても神聖なものに感じられた。
こうしていると、まるで世界に二人きりであるかのようで、今だけは互いしか存在しないと確信出来た。
「はっ……うっ一旦抜くぞ……っ」
絶頂が近くなり、名残惜しく感じながらも性器を引き抜く。
抜いた瞬間に軽く扱けば、白濁した液がダンケルハイトの下半身を汚していった。
以前、そのままダンケルハイトの腹の中に出した時に掻き出すのに苦労して以来、こういう形をとっている。
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