89 / 412

贅沢なスレ違い

玄関は靴で溢れ返り、 リビングに繋がる廊下には服やらゴミ袋で埋まり、 リビングにも服や食器やゴミで溢れていた。 どの場所も同じような状態で、和希は呆然としながらも携帯を取り出す。 「………原田、渡邉と武市も呼んでいいか?」 うんと頷くのを見て和希は速攻電話を掛けた。 武市の携帯に原田家までの住所を送り、ゴミ袋と軍手、マスクの買い物も頼んだ。 …やるか!! 和希は腕まくりをして気合いを入れた。 すぐに合流した渡邉と武市も片付けに参加し、まずは全員でゴミを片付けた後、ゴミ捨て係と洗濯係、洗い物係、掃除係で別れてやることにした。 片付け始めてみると、ゴミはそれほどなく、ほとんどが服のようだった。 洗濯機の置いてある脱衣場に行くとそこも洗濯物で溢れていて、和希は頭痛がする気がした。 「戸川、近くにコインランドリーあるから、そっちと分けてやった方がよくない?」 武市にそう言われ、そうだな!と、力仕事向きの原田と渡邉に任せることになった。 キッチンに溢れ返る食器類を片っ端から洗って拭いて片付けていく。 武市は玄関とリビングまでの廊下の掃除を終わらせ、リビングに入ってきた。 「戸川料理できる?飯作ったほうがいいよな」 「うん、思ってた、それに一番困ってるんじゃないかと」 「買い出し行ってくるけど、メニュー何にする?」 そう言った武市と目が合い、2人ニヤリと笑った。 「「大人数と言えばカレーだろ」」

ともだちにシェアしよう!