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贅沢なスレ違い

買い出しに行った武市、洗濯物に走った原田と渡邉。 残った和希はリビングとキッチンの掃除をやっていた。 そこまでひどい汚れはなく、キッチンの掃除はすぐに終わった。 リビングの窓を開け、掘り出した掃除機をかけると空気も掃除されたように清々しくなった気がした。 洗濯機が終了を告げる音がする。 さすが大家族、洗濯機はもちろん冷蔵庫も炊飯器もでかい。 洗濯物を抱え庭に出て干していると武市が帰ってきた。 原田と渡邉も一回目の洗濯物を山程抱え戻ってきた。 原田と渡邉は二回目の洗濯物を抱えすぐにまた出て行く。 武市とキッチンでカレーの準備をしながら思う。 おばあちゃんとお母さんが退院するまで手伝いに来たい… 原田の力になりたい。 「戸川、彼氏に相談してから決めたほうがいいよ。戸川の家のことだってあるんだから」 武市が和希の気持ちを見越してそう言う。 うんと素直に頷くと、和希は山のような玉ねぎをひたすらクシ切りにしていった。

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