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贅沢なスレ違い

和希は何品かのおかずをタッパーに入れた袋を持って原田家を訪れ、 ピンポンを押そうか帰ろうかとウロウロ悩んでいた。 お母さん戻ってきたなら、さすがに差し出がましいか… いや、副菜的な物ならそこまで厚かましくないか… 色々と考え倦ねていてチャイムを鳴らせずにいた。 と、後ろから何かが身体にどんとぶつかる。 「和希ちゃーん!!」 振り返ると満面笑顔の圭。 結局圭に引っ張られるようにして原田家の玄関を潜った。 リビングには祖母と母親がのんびりとお茶を飲んでいて、和希を見ると笑顔で招待してくれる。 おずおずとタッパーを差し出すと、母親は和希を抱きしめお礼を言った。 「和希ちゃんの作る物、どれも美味しいから嬉しいわ!」 母親の言葉に祖母もニコニコしながらウンウンと頷く。 和希は赤くなりながら、なぜか和希に登ろうとしている圭をおんぶしてやった。 背中できゃっきゃっと喜ぶ圭を落とそうとしてみたり、ジャンプしたりと遊んでいると、母親が何やら封筒を差し出してきた。 「豪から渡してもらおうと思ってたんだけど、今日来てくれてちょうど良かったわ」 もらってちょうだいと付け加えて母親は和希に封筒を渡した。 和希が中身を見てみると、 それは高級旅館の宿泊券だった。

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