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贅沢なスレ違い

こんなものいただけません! と、和希が口を開く前に母親が先手を打つ。 「ここね、昔お父さんが作ったとこなの。 うちのお父さん、建設業って話したかしら?豪」 ううんと和希が首を振る。 「私が言うのもアレだけど割と腕のいい職人さんらしくて、あちこちの有名なとこを手掛けてきたらしいの。 それでこうやってお礼を頂くこともあるのよ。 お食事券とかなら家族で行けるんだけど…宿泊となると家族では動きにくいからもらってくれるとうちも嬉しいわ」 母親は有名ホテルのお食事券を出して見せながら、 ほら本当でしょ?と笑った。 「お父さんとは直接会ってないわよね? 褒めてたのよ、凄く美味い飯だったって。だから何か礼ができないかって」 和希は泣きそうになった。 嬉しくて、原田家の気持ちが暖かくて、 自分でも役に立てたことが、自信が少し持てたことが嬉しかった。 「行くなら予約の時うちの名前を言ってね、離れを用意してくれるから大切な人とゆっくりしてきて」 と、母親は微笑んだ。 和希はありがとうございますと心から思いながら頭を下げた。

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