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大爆発の独占欲
「おーい!戸川!!」
和希は不機嫌なのを隠そうともせずに声の主を振り返った。
壮史がミスコン候補になってから渡邉が何かにつけ和希に声を掛けてくるようになったのだ。
ちょうど壮史のバイトが忙しくなってしまい、本人に聞けないことだの、言っておきたいことだのを全て和希に持ってくるので、
和希は渡邉拒否症の症状がでてきている。
「今日はなんだよ……」
うんざりした顔と声をわざとしながら和希は渡邉を見た。
が、ふと思う。
今日は確か壮史は来ているはず。
「いや、今相澤の写真撮影やらやってんだけどさ、あいつ硬いんだわ。そしたら戸川呼んでこいっつーから」
「は?」
「ご指名だから、頼むわ」
渡邉に腕を掴まれ引き摺れるように走りながら和希は頭痛がするような気がした。
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