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大爆発の独占欲
その話しは壮史から聞いた覚えがある。
矢本は和希も何度か会ったことがあるが、真面目で素直な好青年だ。
学食で西脇が落としたパスケースを数日後に会えた際に返そうとしたら、
ストーカーと勘違いされた上に全然タイプじゃないしと派手に振ったのだと壮史は静かに怒りながら話してくれた。
その時一緒にいたのだから人違いも何もないのだが、そういうところも嫌う要因なんだろうと和希は思った。
壮史は基本的につかず離れず。
人と深くは付き合わない。
表面だけの付き合いで充分らしい。
和希も似たようなものだが、壮史の方がもう少しドライだ。
だが、プライベートな部分に触れたり入ってこようとすると一刀両断、綺麗な笑顔を張り付かせた顔でそこで切ってしまう。
和希はそういう壮史を見ると勿体無いといつも思ってしまう。
あのルックス、頭の良さ、なんでもソツなくこなせる器用さ、
もっと違う場所に、もっともっと高みに行ける人間なのに、と。
「…頼むよ、な?いいよな?」
全く聞いてなかった和希は渡邉に念を押されるように聞かれて思わずうんと頷いてしまう。
渡邉はぱあっと顔を輝かせて和希の手を握った。
「さすが戸川!恩にきるぜー」
「え!?何?」
「だから今言ったじゃん、相澤担当のスタッフ頼むって!ほら、行ってきて!」
渡邉は和希の背中をぐいっと押し、あっと思い出したように和希の耳元に顔を寄せた。
「あんな、女子のミスコンのエントリーの中にもやっかいなのがいるんだわ。お前狙われるかもしんないから気をつけろよ」
もしかしてそのやっかいなのって…
「相澤の不機嫌その2」
渡邉はピースサインをしながらニカッと笑ってみせた。
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