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大爆発の独占欲
部屋の灯りがついて、和希はびくりと身体を揺らした。
壮史が帰ってくるまで和希はただソファに膝を抱えて座っていた。
どうやっていつ帰ってきたのか記憶が曖昧だ。
和希は自虐的に笑った。
どれほど壮史に依存しているんだろう。
壮史を好きなのか、ただ依存しているだけなのか、それすらわからなくなっていた。
今のこんな気持ちで一緒にいたくなかった。
和希はバイトだと嘘をつき家を出ると街に行き、適当なバーに入った。
一杯目を頼んでちびちび飲んでいると隣に座る気配がして横を向いた。
「こんばんは」
黒縁眼鏡をかけたスーツ姿の若い男だった。
和希も小さく挨拶を返すと、男は店員に注文をしてから和希の方を向いた。
「待ち合わせ?」
和希は首を振る。
「じゃあ一緒に飲まない?」
和希がゆっくりと視線を上げる。
これは…誘われているのか。
そういう店?
和希は改めて店の中を見渡した。
店の中は男ばかりで、恋人のようにくっついてる男達もいる。
和希は椅子から立ち上がると料金を払った。
「ごめんなさい、俺」
隣に座ったスーツの男に腕を掴まれ、言いかけた言葉が止まる。
後ろから腕が伸び、和希は後ろに引っ張られるようにしてその腕の中に閉じこめられた。
「お待たせハニー」
じょりと頬に髭が当たったと思ったら頬にキスをされていた。
慌てて振り向くと、赤い看板の店にいた西園寺だった。
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