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野獣のように
頬を撫でられる感触に和希は重たい瞼を持ち上げた。
壮史が笑みを浮かべ和希の頬を優しく撫でていた。
和希も思わず笑顔を見せると、壮史はゆっくりと目を閉じ、すぐに寝息が聞こえてきた。
和希が身体を動かすと孔からどろりと溢れる感触がし、慌ててティッシュの箱に手を伸ばした。
どうやら意識を落としていたのはわずかな時間だったようだ。
壮史の精液を拭き取ってから和希はトロトロと起き上がりシャワーを浴びに行った。
風呂から出て着替え寝室に戻った和希はお湯で絞ったタオルで壮史の身体を拭いていく。
深い眠りに入っているらしい壮史はぴくりともせず、和希は性器も拭いてしまうと下着だけを苦労して履かせ、また壮史の隣に潜り込んだ。
ごろんと寝返りを打った壮史が和希を抱き締めるように腕を置いてくる。
目にかかった髪を避けてやり、唇に軽いキスをした。
あんなに好きだと言われたことはこれまでなかった。
思い出すとまた身体の奥がきゅうとはいってもいない壮史の性器を締めるような感覚がする。
起きた壮史は覚えているだろうか。
照れて顔を合わせてくれないかな。
それとも全く覚えてないかな。
それでもいい、自分はきっとずっと覚えている。
この先二度と好きだと言ってもらえなくても、
今夜一生分の好きだをもらった。
和希は何故かポロッと溢れた涙を拭うと壮史の腕の中に収まるように寄り添ってから目を閉じた。
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