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大人でも子供でも
電子レンジで温めたココアを和希に渡しながら西園寺はタバコを咥え火をつける。
和希の向かいに椅子を持ってきて座ると美味しそうに煙を吐き出した。
「今度は何があった?」
え、と和希がマグカップから目を西園寺に向ける。
「イケメンと何かあったんだろ?」
和希は首を横に振る。
「何もない」
壮史忙しいから、と独り言のように言った和希に西園寺はニヤと笑った後軽くため息をついた。
「お前寂しいんだろ」
寂しい…?
和希はぽかんと口を半開きで西園寺を見つめる。
「そ、んなわけないって」
壮史と毎日会ってるし、
一緒に暮らしているし、
そりゃ食事は別々になってるし、
寝る時の抱擁もなかったりするけど、寂しいなんて…
「エッチしたいーもっとかまってーって言えよ」
きっと睨むが、西園寺は至って真面目な顔だ。
忙しいのをわかっているのに、
疲れた顔をしている壮史にそんなこと言える訳がない。
唇を噛んで俯いた和希の頭を西園寺の大きな手が慈しむように撫でる。
「俺だったら、恋人が一人で泣くのは嫌だな」
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