胸の下までの黒いストレートのウィッグに、 黒のミニのフレアワンピースに白いヒラヒラのレースの施されたエプロンをつけ、 黒のニーハイソックスに白いベルトのついた黒いパンプスを履いている。 くりっとした大きな目を強調するように長い睫毛が上げられ、アイシャドウはピンクが控えめに使われ、ほんのりと色付く頬もピンクだ。 ぽてっとした色香溢れる唇もピンクでつやつやと輝いていた。 西園寺は口をぽかんと開けたままジーンズの後ろポケットから携帯を取り出しカメラを起動させると無言で連射ボタンをタップした。 「ちょ、っと！撮るなって！」 声を聞くと確かに和希だ。 しかし見た目だけならどこのお嬢様かと思うほどの出で立ちに西園寺の悪戯心にぼっと火がつけられる。 着替える、ダメと言い争う和希と彬を他所に、西園寺は壮史にさっき撮った和希の画像を送る。 壮史からきたメールに西園寺はニヤリと笑って和希の方に向き直った。 「和希、見てみ」 西園寺がメールの画面を和希の目の前に付き出す。 画面には壮史からの返信があった。 [誰これ？めっちゃかわいいんだけど、芸能人？] 途端に和希の全身が真っ赤に染まると西園寺は満足げにうんうんと頷いてみせた。