茶色のウェーブがかかったウィッグは胸の下あたりまでの長さがあり、うさぎの耳のカチューシャがついている。 胸を強調しないデザインの黒の燕尾ジャケットのちょうどお尻の部分には白いふわふわの丸い尻尾がついている。 バックシーム付きの網タイツに黒のハイヒール、 もちろん蝶ネクタイも白襟に黒だった。 アイシャドウにはブラウンとゴールドが使われ、真上ではなくやや横に上げられた長い睫毛が妖艶に頬に影を作っていた。 唇には赤い口紅が塗られ、ぽってりと艷やかに光った。 「凄いな、女性にしか見えないね」 武市がしみじみと言うのを顔を顰めて流す。 武市はと言えば、錦紗破れ色紙に唐花模様のアンティークの着物に、深紅に金の桜模様の帯、 黒と茶が混じったようなストレートロングのウィッグ、 後ろはお団子のようにまとめられていたが、 前の部分は詰め物をした胸の上を流れるように帯の真ん中ほどまで垂らされている。 元々が女顔らしく和希と違ってあれこれ塗られた感じのない肌はいつもより透明感が増し、 オレンジの入った赤い口紅を塗られた薄い唇に色香を感じた。 「武市こそ…綺麗だな」 「ありがとう」 言われ慣れているかのような武市の笑顔に和希は唖然とする。 いつの間にか来ていた西園寺がまた無言で連射撮影しているのを気にもせず、武市は店舗図を確認している。 和希も一緒に確認しているのをいい事に西園寺は悪い笑みを浮かべ、メールをタップする。 バニーガールの和希の写メを添付し、メールを送る。 [この子のボディーガードしないか？]