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溢れる家族愛
「なんか、やたらニヤニヤしてたり、ため息ばっかりついてたり、とにかくキモイ」
シャーペンをくるくると回しながら海が眉間に皺を寄せる。
「いいじゃん、うまくいけばいいけど」
「どんな女か、気になんないの?」
「そりゃ、なるけど、うまくいったらそのうち紹介してくれるだろ」
あ、そこ漢字違うと、和希に言われ消しゴムで消し顔を上げた海はさっきよりも深い皺を刻んでいる。
「騙されてないかな」
「え?」
「だって、あの豪だぞ?ビッチに騙されるのとか、圭に箸で豆腐食べろっていうより簡単だぞ!」
「……海」
「おれ、とーふ、はしで食べられるってば!」
「いっつもボロボロこぼしてんじゃん」
「だって、やらかいんだもん…」
眉を下げた圭の頭を撫でてやると圭が和希を見上げてニコッと笑う。
「豆腐はどうでもいい、和希!」
「はい!」
「豪、付けてきて!どんな女か、騙されてないか見てきて!」
海がとんでもないことを言い出した。
「えぇ!?やだよ!」
「和希は心配じゃないの?豪がビッチに騙されててもいいのか?」
何故騙されてる前提なのか…………
そして何故やたらビッチだと疑うのか…………
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