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溢れる家族愛
拗ねたように口を尖らせ手持ち無沙汰でシャーペンをくるくると回す海を見ながら顔が綻ぶ。
兄弟のいない和希は羨ましいなぁと素直に思う。
「海、そんな心配しなくても豪だっていい歳なんだし何かあったら話してくれるんじゃない?」
「べっ別に心配なんかしてねーし!それに」
尖らせていた口元が今度はへの字に下がる。
「豪は…俺らに話しなんかしねーよ」
長男だから、と海がぼそりと呟く。
短い髪をざりざりと撫でてやり和希は笑う。
「いくら心配でも知りたくても跡をつけたりはダメ。海だって豪にされたくないだろ?」
「あいつ、俺の初デートの時跡つけてきやがった…」
おかげで何もできなかったし、とブスくれる海に堪らず噴き出すと海の口がまた尖ってしまった。
「それとなく豪に聞いてみるから、な?」
宿題と和希達の話しに入れず飽き、和希の背中を登る圭をおんぶしながら和希が言うと、海は小さく頷き、ありがとうとお礼を言った。
言ってしまってから内心和希は焦っていた。
それとなく聞き出すとか、俺出来るんだろうか………
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