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溢れる家族愛

和希が渡したバスタオルで豪が赤坂を包むようにしてからごめんなさいと一言断り赤坂を抱えあげた。 ひゃあと声を上げた赤坂を脱衣場に連れて行くとゆっくり、そしてそうっと降ろす。 「風呂入ってください、着替えは妹のを持ってきます。濡れた服はこの乾燥機に入れて乾かしてください」 押すボタンの順番を教えてから出て行こうとする豪に赤坂がありがとうございますと声をかけると豪は振り返り笑顔を見せた。 「誰」 服を持って海が降りてくる。 風呂場からシャワーの音が聞こえてくるとほっと胸を撫で降ろした豪が口を開いた。 「こないだ話したろ?俺の、…友達」 そこで漸くタオルで雫が落ちる頭をわしわしと拭く豪の横で和希も思い出したように頭を拭いた。 「凛帰ってきてる?服借りたいんだけど」 「まだ、だけど、服だけでいいのか?パンツとかは?」 「ぱ!?」 「だってずぶ濡れなんだろ?ノーブラノーパンで服着させんの?」 「のっ!?」 真っ赤になってしまった豪は口をぱくぱく開け閉めするだけで機能していない。 とはいえ、和希もそこまで頭が回ってなかったなと反省する。 三人が固まってしまっているところへ玄関が開き、帰ってきたのは凛だった。 凛はちゃんと傘を持って行っていたようで濡れていなかった。 「凛!」 「え!?」 和希と豪が凛に駆け寄ると凛がぎょっとした顔で後ずさった。 「ぱ、ぱ、ぱ」 「ごめん、コンビニで女の子のパンツ買ってきてくれない?」 真っ赤になってぱだけを繰り返す豪を避け和希が凛に頼む。 ざっくりとされた説明を受け、凛はわかったと頷くと今しがた閉めた玄関を開け出ていった。

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