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第12話

 ただ…… 「よろしかったので?」 「折笠君?」  梅木原に振舞おうとしていた抹茶を折笠に点てようと、雨宮は折笠を令庵へ呼んだ。しゃしゃしゃと手際良く、茶筅を動かすと、粉状の抹茶と湯と空気とを上手く混ぜ合わせていく。 「それでは、いつまでもお礼するのはできませんし、この先、どうしても、お会いしたいのであれば、これを機にご友人になられた方が良かったのでは……あ、私が梅木原様の元へ行くのは一向に構わないのですが」 「そう、だね。でも……」 「でも?」 「また会えるから」  会える理由は何でも良かった。  ただ、2人にとっては会える事が大事だったのだ。

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