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雨のバス停での出会い

 あぁー雨降ってるよ…。  夕方5時。  図書室で読書に没頭していたら、時間が経つのがあっという間だ。  その間に雨も降り出していたみたいだ。    昨日、天気予報で梅雨入りしたって言ってたが、今朝家を出るときは梅雨入りしたとは思えないほどカンカン照りに太陽がきらめいていたので、今日は雨は振らないなと傘を持っていかなかった。  それが今は夕方とはいえ、厚い雲が空一面広がっておりザーザーと言う音を立てながら大粒の雨が降っている。  天気予報の雨は当たっていたみたいだ。  傘持ってくればよかったな。  そんな後悔をいだきながら、空を見上げる。  仕方ない。濡れるけど、近くのバス停まで走ろう。  ぼくは持っているカバンのファスナーをしっかり締め、中身が雨で濡れないように気にかけ、雨の中全力疾走した。  屋根付きのバス停まであとちょっと。    ぼくは今年初、全力疾走した。  体育の時間も競歩並みの速さでしか走っていないし、休みの日は基本家から一歩も出ない。  バス停には、ひとり人が立っている。  ぼくと一緒の制服を着ていてこの学校の生徒みたいだ。  だいぶん派手な髪の色だなー。  金髪が雨雲で覆っていて真っ暗な外でも輝いている。  それにかなり着崩されている制服姿。  あまり関わりのないタイプの人だ。  といっても、これといって仲のいい友達はいないんだけど…。    まああんなに派手な見た目のあの人も、地味な見た目の見るからには陰キャラのぼくにも興味なんかないだろう。  ぼくは隣に立つ派手な男を無視しバス停の椅子へと腰掛け、カバンからタオルを取り出しびしょ濡れの頭を拭く。  数メートルの距離でもこれだけの大雨なら全身びしょ濡れだ。  髪の毛の水分だけで、あっという間に持っていたタオルはびしょびしょになったが、顔についている水滴も拭くため、かけていた眼鏡を外す。  あー、ブレザーもびしょ濡れになっちゃったなー。  はぁーと大きなため息が漏れた。 「――大丈夫?」 「ぇ」  ザーザーという雨の音に混じり、声が聞こえた。  今このバス停にはぼくともうひとり派手な見た目のこの人しかいない。  よって今聞こえた声は、隣にいる人物からだろう。  ぼくは隣に立っている人物をうかがった。

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