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物語本編 27

財前「『普通』 っていうのは、一体誰の基準?」 鈴木「それは……」  真顔で問われて、答えに詰まる鈴木。 鈴木(『普通』がどんなものかなんて、考えたこともなかった)  更に強まる雨足。 財前「鈴木、ちょっと雨宿りしよう」  さすがに折り畳み傘一本では厳しい雨。  財前は鈴木の手首を掴み、細い路地を曲がる。    人通りのない路地にある、シャッターの下りた古い煙草屋。  鈴木の手を引いて、その軒下へ入る財前。

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