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雨の日の思い出

 窓の向こうは、いつもよりもぼんやりとして、なんとなく白っぽい。ガラスに雨のつぶがたくさんついてて、小さいのと小さいのがくっつくとシューッと流れ星みたいにながれていく。  しずかだけど、雨の音はちゃんときこえる。ずっと見ていられる。きいていられる。 「あ~あ、今日も雨だねぇ」  うしろからお姉ちゃんの声がした。 「うん」 「つまんないねぇ。あ、絵本読んであげよっか?」 「ううん。いい。たのしい」 「みっくん雨好きなの?」 「雨のおんがく好き。雨のつぶも好き」  ぼくは窓にいっぱいついてる雨のつぶをトントンとさわりながら言った。 「それにね。雨はおせんたくもしてくれるんだよ」 「洗濯? 何の話?」  ソファにすわってたお兄ちゃんもぼくのそばに来た。となりにドスッてすわる。 「みっくんが雨は、お洗濯してくれてるって」 「ほんとうだよ。雨がやんだらね、みんなキラキラ光るんだよ」 「あー、確かに。充はすごいな」  お兄ちゃんがぼくの頭をなでてくれる。お姉ちゃんもニッコリしてる。 「雨が止んだら三人でお外に見にいこっか」 「うん!」  お姉ちゃんがうしろからだっこしてくれた。せなかがあったかい。こんどは三人で窓の外の雨を見て、雨のおんがくをきいた。  ぼくは雨が好き。

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