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第10話

それは僕の誕生日の日の夜に訪れた。 将人が3月に引っ越して、2ヶ月が経った頃である。勝己の誕生日は5月初めだ。ケーキを食べたり2人で地味ではあったが、祝ってもらえたことがとても嬉しかった。 その夜、ベッドに入ってからしばらくすると、静かに尚之が部屋に入ってきた。 ベッドサイドに腰を下ろし、小さい子にするようなキスを頬に落とした。 驚いて咄嗟にその場所に手を添えてしまった。 部屋に入ってきた気配に眸は開けていたから、ベッドサイドに腰を下ろした時点で薄暗い部屋とはいえ、起きているのは知っていたはずなのに、いつもそんなことをしていたのか?と聞き返すことも出来ず、羞恥に頬に熱が集まる。 それだけでも勝己にとっては驚きだったのだが、なにごともなかったかのように尚之は静かに口を開いた。 「誕生日おめでとう。勝己も16歳になったね。嬉しいよ。私はこの日をずっと待っていたんだよ?将人の引越しの時に言っていた恩返しも兼ねて、私にもプレゼントをくれないかな?」 言われている意味がわからない。けれど、恩返しになるのなら、と僕は即答で『良いけど……』とOKしてしまった。 ベッドに掛け布団を捲られて、パジャマのボタンを外し始め、首筋に口唇を這わせ始めたところで違和感に気づく。 「……義父さん?何しようと……」 口唇が塞がれ舌が絡まってくる。喋っていた途中だった為、口唇は開いたままだったのだ。部屋の中に水音が響く。クチュ…クチュクチュ… 優しく口腔内を舐め回され、その舌は縦横無尽に粘膜を刺激する。逃げる舌を捕まえては強く吸われたり、上顎を擽られた時には腰が揺れた。その隙に下にはいていた着衣は全て剥ぎ取られてしまっていたことにも気づかず…… ただ、強ばっていた躰が弛緩していくことが不思議でならなかった。感じる度に 「……んっ、ふっ……うぅん……」 と自分のものとは思えないような甘い声が口唇の角度を変える度に漏れでるが、不安な気持ちには変わりなかった。 それを察した尚之が頬を優しく撫でながら、 「大丈夫、気持ちのいいことしかしないから」 全てを脱がされ、パジャマの上だけは手首のところで縛られていた。ここでやっと、その異様な事態に、状況が飲み込めず混乱した。 心がついていっていない。少し熱を持ち始めた躰の中心の熱が冷めていくのがわかり、冷や汗が出た。深く口付けられた躰は、快感に溺れて力が入らない。 嫌な予感に逃げたい気持ちになるが、躰が上手く動かない。ガタガタと震えるだけだ。眸に涙が溜まっていく。快楽からくる生理的な涙なのか、恐怖からくるものなのか、それとも両方なのか、それすらわからない。 尚之も着ていたスウェットから下着まで全て脱ぎ捨て、互いにほぼ全裸の状態になって勝己の上に被さってきた。しかも、太ももに触れた尚之のモノは、勝己とは比べ物にならない大きさで熱を持ったペニスは立派に成長して反り勃っていた。そして、怯えた勝巳自身に触れ、 「……可愛いなぁ……こんなに縮こまって…」 膝を割り、足を広げさせ、下腹部の中心に顔を填めたかと思うと、1度だけ風呂場で尚之に触られただけの中心が暖かい粘膜に包まれた。 「ひゃぁ!?」 口淫をされていると気付くまで時間がかかった。萎えているペニスを口に含むと勃たせるために扱くように吸ったり舐めたり輪のように窄めた口唇がねっとりと音を立てながらわざと音を立てながら絡みついてきていた。 その音がいやらしさを増幅させる。勝己にだってセックスの知識くらいはある。だが、それは男女の関係のものを指していて、尚之も自分も男だ。だからこそ、尚之は男が感じる場所を心得ていた。それだけに性質(たち)が悪い。 「……ふ……ぅん……ぅぅん……」 感じたくないのに、初めてのそれは腰が持ち上げってしまうほど気持ちよく、尚之の口の中で力を持つまでにそれほどの時間は要さなかった。 先端の窪みに下をねじ込まれて、滲み出ようとしていた淫液を舐めあげられる。 「……いっ……あぁぁ……うぅん……」 声が抑えられない。同時に溜まっていた涙が眦を伝って暖かな雫がこめかみへ流れていく。 口淫をしながらも尚之の手は、躰のあちこちを撫で回し、快感を引き出そうとしているが、もう、初めて尽くしの躰は全身が性感帯になったようにどこを触られても気持ちよかったり、擽ったかったり、混乱が広がる一方だった。

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