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第13話

「せっかく、綺麗にしてたのにな。」 真っ白で、金の刺繍が彩られた花嫁衣装は 桃李を、ハッとするほど美しく、儚い存在に見せた。 騰礼は、化粧のされた頰や額に口付けながら 出来るだけそっと、その身を脱がせていく。 封印を解くのに必要なのは、四龍の気だ。 本当なら、耽淵がやるのが良いが、 今は夏で、夜までは程遠い。 四龍は、それぞれに合った季節や時間がある。 只でさえ、枯渇している気で封印を解くなら ささやかながら威力や効果を底上げした方が、良かった。 「桃李...起きろ。」 やがて、肌襦袢一枚となった桃李は、 はっきりと桃の香りを漂わせていた。 ちゅくり、と露わになった首筋に 熱い舌を這わせていく。 「甘いな、お前は。」 久しぶりに感じる愛しい味は、 騰礼の身体中をあっと言う間に滾らせていく。 そして、漲る清浄な気は、龍に力を与え、満たす。 触れるだけでも、気は渡せるが 手っ取り早く済ませたいなら やはり、身体に取り込むのが1番良いのだ。 仁嶺が初め、桃李に唾液を飲ませたように。 だが、今の桃李に飲み込む力は無いだろう。 「残念だが、お前の相手は俺からの様だな。」 最後の紐を抜き取り、騰礼は、前をはだけさせる。 そこには、この20年求めて止まなかった 白く美しい肌が、あった。 その無垢な肌に、自分と同じ"赤"を落としていく。 首筋、鎖骨、肩、二の腕、指先、様々な所に 口付けを落としながら 騰礼は、火の気を流し込んでいく。 「気を失っても、ここは反応するのか。」 やがて、僅かに反応を見せている下肢へと その唇が辿り着いた。 指先で、何度も柔く撫で、擦り上げていく。 やがて、硬くなった愛しい熱を 騰礼は躊躇いもなく口に含んだ。 ねっとり、と分厚い舌で舐めあげ 唾液で、濡らしては 熱の先端を舌先で突いていくと とろり、と白濁が溢れ出てきた。 「... ...桃李っ、」 じゅるり、と溢れてきた蜜を吸い上げ こくりとじっくり喉を流れて行く様を味わいながら 飲み下した。 それは、甘く愛おしい桃の香りを纏い、 清く澄んだ気の味がした。 すると、たちまち 枯渇し切った騰礼の喉、心、身体までをも癒していった。 少量飲んだだけでも、これだけの効果があるのだ。 桃李が、嫌だと言うほどに責立て、果てさせ、 沢山の蜜を滴らせれば それだけで龍は完全回復出来る。 勿論、口付けでも良いが どうせならもっと気持ち良いことがしたい。 龍も所詮は、愛するものを持つ只の雄である。 まだ充分に満たされた訳では無いが、 これ以上、桃李から気を摂り続けるのも危険だ。 少し唸りたいほどの熱を上げた 自身の身体がどうしようもなく はしたなく、桃李を求めてしまう。 「早く、桃李のナカへ...封印を解かなければ。」 騰礼は、気を失ったまま眠る桃李の片足を 自分の肩へと乗せる。 細く、引き締まった脚が堪らなく美しかった。 つい、と目を奪われて 気付いた時には、 その足の甲へ口付けを落としている所だった。 「俺にこんな事をさせるのは、お前だけだ、桃李。 悪いが、これからお前を抱く。」

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