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第1話

その街はよく人が飛ぶ街だった。 比喩ではなく、実際に人が空を舞う。 今朝も朝から空高く舞う人が見えた。 「このくそ亭主!浮気したら許さないっていったでしょう!」 主に女性の罵声とともに。 朝に舞う人の原因の殆どが無断で朝帰りだ。 「おぉ…今日もよく飛んでるなぁ…」 開け放った2階の窓から外を見る。 赤い屋根が可愛いこの家は僕が結婚の申し込みを受けたその日に案内された。 その用意周到さになんだかなぁ…と苦笑したのは半年前のこと。 「こぉのっ!大馬鹿者が!!」 他の場所でも怒号とともに男の人が空に跳ねあがっている。 顎を上に向けて飛んでいくのはアッパーがみごとに決まった証拠だ。 「たーまやー」 空を舞っては落ちていく旦那さん達。 その種族は鬼人《オーガ》。 鬼人《オーガ》の女性はとても強い。 男性はとても…とても丈夫だ。 あんな高くまで飛ばされてもケガひとつないのだから。 「イリヤ!」 窓の下から声が掛かる。 そこには4ヶ月前に僕の旦那様となった鬼人が立っていた。 背中まで伸ばされた真っ直ぐな濃紺に近い青色の髪、灰色味の強い青い肌、ちょうど髪の生え際よりも少し下くらいから2本、青白い菱形の四角垂の長い角が生えている。先端に行くにつれて色が濃くなるその角は典型的な鬼の角とは違うけれど、鋭利なその形はクールな雰囲気の旦那様にとてもよく似合う。 そして、瞳は灰色に近いごく薄い青色。薄曇りの空の色だと見るたびに思う。 きっちりと着た濃紺の着物がかっこいい。 そして、僕はなによりもその瞳の色がとても好きだ。 「お帰りなさい」 手を振ると旦那様はキリリとした顔で頷く。 そして、僕に向かって手を拡げた。 僕は躊躇うことなく窓からひょいと身を乗り出して墜ちる。ふわっと広がった着物の裾をあわてて押さえた。 「ただいまイリヤ」 そして、この国に僕が墜ちたその日のように、旦那様はすっぽりとその腕の中に受け止めてくれた。 「朝ごはん出来てます」 そうっと丁寧に降ろされた僕は乱れてしまった着物なおして、見上げるほど大きな旦那様にそう言った。 「うむ、頂こうか」 頷いた朝帰りの旦那様のニオアさんは鬼人族の事務員をしている。 とても忙しい部署らしく朝帰りは日常茶飯事だ。 電話やメールといった便利な通信手段のないこの世界では仕事が遅くなっても連絡する方法がない。 いや、ないわけでもないのだけれど…異世界人だからか僕は使えない。 唯一わかるのは帰らない時に限り、ニオアさんから貰った錫杖がシャンとなって青く光る。逆に帰るときは白く光る。音は鳴らない。 この錫杖はそれなりに高いらしいけれど、戸締まりが不安だと新婚早々に持たされたもの。 ニオアさんの仕事は大変だな~とは思うものの、日本の社会人として働いていた僕としては、繁忙期の社会人なんてそんなものだろう。程度にしか思わない。 やきんのある仕事とか、そんな感じ。 むしろ、そんな忙しい中、わざわざ早朝に帰宅して朝食を食べに帰ってくる旦那様はむしろとてもいい人…いや、いい鬼人だと思う。 ニオアさんは鬼人なのに優しいし、言葉遣いは丁寧だし、キバも控えめで、目もとと鼻筋はすっきりとして、けれど、垂れ目とちょっとぽってりとした唇が合わさって… もう…もうなんか…もう本当にエロい!! 筋骨隆々、っていうか岩山かな?っていうゴツゴツの背中のこれぞ鬼!っていう鬼の中でニオアさんはすらりとしてる。 …とはいえ、僕にとっては十分マッチョな体型でとにかく色っぽいお色気系イケメンである。 ニオアさんは鬼人なのに外見的には人外じみたところがない。 それも僕にとって結婚の大きな決め手ではあった。 じゃあ、他の鬼人はどうなの?ってなるわけだけど… 他の鬼人はいわゆる鬼。 虎のパンツが似合いそうな感じです、はい。 大きな体に大きな目と鼻と口。大きな牙と丸い角。 全部揃っているようなパーフェクト鬼さんが多い中、ニオアさんは素晴らしく美形な鬼さんでした。 ニオアさん的にはそんな自分がコンプレックスらしい。 鬼人の男性はそんな感じなんだけど、鬼人の女性は美人が多い。 ボンキュッボン、二重くっきり、まつげバシバシ!!な迫力系美人ばっかり。 背も高くて並ぶ僕は子供かな?って感じ。 実際は26才の最近ようやくビジネススーツが似合うようになってきてたんだけど…そんなの意味なかったかな。 女鬼さん達にとっては子どもくらいの大きさの僕はほぼぬいぐるみ扱いだった。 まさに対象外。悲しいほどに眼中にない。 かわいいかわいい!!ってするペット的立場。 代わりに同性婚も当たり前のこの世界で男の鬼人にはモテた。 自分で言うな? いやいや、ちょっと考えてみてほしい。 相手は鬼。 ゴッツゴツでギョロギョロで牙がすごくて小山のような鬼にどすどすと突撃され愛を叫ばれたらどう? めっちゃ怖いから! おそらく、ニオアさんの外見は鬼人的には女性的なんだと思う。 僕にとってはただのイケメン鬼だけど。 鬼人的中性感溢れるイケメンのニオアさんはとにかく優しい癒しの鬼です。 仕事が忙しくても早朝帰宅してご飯を一緒に食べてから仕事に行き、夕方早めに戻ってきたらお買い物に連れていってくれたり、一緒にご飯を作って食べたらまた仕事に戻っていく。 しかも、夜中も様子を見に戻ってきてくれるという過保護っぷり。 大変じゃないのかな? ニオアさんの仕事は夜勤ありの事務員だ。 働き方は…どちらかというとブラックかな。 今はいそがしいのかほとんど毎日出勤してるんだから相当ブラック企業だけど… まあ、鬼人だしそんなものかな~とも思う。 今のところニオアさんは元気そのものだ。 いまだって… 向かい合って座る…というか、向かい合った状態で僕はニオアさんの膝の上にいる。 手には朝ごはんのおにぎり。 「あっんん…もっ…んぁっ!!」 けれど、食事中には不釣り合いな声が部屋には響いていた。 原因はニオアさんの青黒い下腹部と僕の下腹部がぴったりと密着しているからだ。もちろん密着しているだけではなく、ずっぽりと秘所はニオアさんのニオアさんをくわえこんでいる。 くちくちゅとぬるついた水音が聞こえるのは二人が重なりあう場所から。 僕は突き上げられ、ふるふると震える手でニオアさんの口元におにぎりを近づける。 ばくり、と大きな口がおにぎりをかじる。 「ん…美味い」 綺麗な灰青の瞳が甘くとろける。 そして、咀嚼しながらニオアさんはぐっと突き上げてくる。 「あうっ!溢れちゃうからぁっ!」 下からの突き上げに、かじられ形が崩れたおにぎりがぼたりと僕のはだけた着物の胸元におちた。 ニオアさんは其れをべろりと嘗めとり、そのまま胸のほとんどない膨らみを大きな掌でぐにんと形がかわるくらい強くにぎる。 そして、指の間からちょこんと飛び出た頂きをぱくりと口にふくみくちゅくちゅと舌でころがし、あまく噛む。 もう片方はきゅっとつねられて、僕は種類のちがう快感に震えた。 「んんーー!!あふぁぁっ!!」 びりびりとした快感に中にいるニオアさんをきゅうと締め付けてしまう。 ぷじゅっ!下腹部で噴き出すような音がするのがひどく恥ずかしい。 「すまん、イリヤのつくってくれた朝食が…」 手の中で崩れたおにぎりをニオアさんが酷くいやらしい舌づかいで嘗めとっていく。 ぽってりとした唇がべろりと白いお米のつぶを嘗めとるその様子は普段のクールさが嘘のようで僕は色気溢れる顔から目が一ミリもはなせない。 ああっ!旦那様の色気がすごすぎるぅぅ!! そして朝っぱらからこんなことしてる事実に僕は羞恥に悶える。 悶えながらも身体は正直なもので、秘所は恥ずかしいほどに濡れている。 「ん…美味しい…」 「ひゃぁん!!」 指の叉を青い舌が嘗める様子からめがはなせない。ぞわぞわとした快感が背中を走る。 「そろそろ、朝御飯よりも君を食べたい」 もう、食べられてます旦那さまぁぁ!! そう言いたかったけれど胎内のニオアさんがぐぐっとおおきくなったことで僕の口から出たのははしたないくらいの甘い喘ぎ。 「ひぁぁぁあぁんン!」 いっそう大きくなったそれは僕の体を浮かせ、今までニオアさんと密着していた肌がひやりと冷たく感じた。 いくらなんでも濡れすぎで、恥ずかしくて僕はいやいやと頭をふる。 「ああ、イリヤ…君の奥の奥までわたしのものに…っ」 ニオアさんは大きな手で軽々と僕を持ち上げ、大きくなっていくニオアさんのもので中を長すぎるストロークで擦りあげていく。 「あーーーーっ!!にっ…ニオアさぁぁんん!!」 じゅっぷ、じゅっぷと恥ずかしい音が聞こえる。こんなに濡らして… 「イリヤっ!…くっ!」 ぬぶんっ!とひときわ深く、ぐいぐいと柔かな最奥まで突き上げられ、あまりの悦さに僕はのけぞり、びくびくと体を痙攣させる。 「いやぁぁぁ!!あ、あ、あ!あひぁっ」 「うぅっ」 耳元で呻くような旦那様の掠れた声がいやらしすぎるっ! 僕は身体中をめぐるびりびりとした快感に震え、ぷしゃり、ぷしゃりと再び下腹部を濡らしていく。 「ひはっ…ひっぁっぁあっあーーーぁあ…」 同時にどくりとニオアさんの熱い迸りが吐き出され、腹のなかに納めきれなかったそれが僕とニオアさんの接合部を濡らしいてく。 「あっ…あ゛っ…ぁぁ」 ビクビクと僕の痙攣に合わせて溢れるいろんな液体のたてる音に耳まで犯されているみたい。 僕がはしたなくも漏らしたものが白濁だけじゃないことに気づかれなければいいと思いながら…くたりとニオアさんの胸に体を預けた。

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