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情報と医者の話(丞side5)

 電話口から怒ったような拗ねたような声が聞こえてくる。藜からの情報を聞くと少し悔しそうな声と表情になるのは以前からだ。やはり、調べてくれたのかな。と思いながら話を続ける。  目で見て、感じた情報の方が生きている。と藜は言う。資料を調べ、残っているデータを集める事はできるが、現地で調べることは藜では難しい。だからこそ、八色の情報はありがたい。 「いつもありがとう、八色くん。それから明日だけど……」 明日のは依頼人の家へ訪問する日。時間と待ち合わせをいつも通り古坐魅診療所と確認して通話をきった。 「……さて、ぼくも明日の準備をしないとね」 忘れ物がないか確認をしながら車の鍵を置いておく。 「何事もありませんように」 いつも、患者のもとへ行く時に祈るように呟くのが日課だ。患者が、家族が、これ以上負担を背負う事がないように。と願いをこめるのだ。 鳩時計が「寝る時間だ」と知らせてくれる。 「さて、お風呂にはいって寝ようかな」 結っていた髪をほどき、両手をあげて伸びをする。無意識に入っていた身体の力が抜けていくのを感じた。

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