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医者と情報の話(丞side4)
メールが端末にはいった。
件名は「情報」とだけ書かれている素っ気ない文章と、どこまで調べたら出てくるのかわからない情報量のデータ。
「相変わらず仕事がはやい」
依頼をしたのは八色に連絡をいれた後。仕事が一段落して落ち着いてから連絡をしたから深夜近かった気がすると思いながら添付ファイルを印刷して読み込む。
外国の貴族の血筋が入った華族の家柄。家族の仲は良好。今の息子の前に死産した子供がいた。
家の見取り図や家族構成なども含まれた資料を読み込みながら気になった所があり、データの送り主に電話をかけた。
「もしもし?」
3コールで電話に出た相手は電話の主ではなかった。
『はい、紫尾です』
少しひそめられた声は電話の主の隣人、紫尾晶のものだった。
『すみません、丞さん。今、藜ダウンしてるんです。俺で良ければお話伺います』
「あぁ、そうか……。もらった資料で気になる所があったんだけど、」
『資料……あぁ、はい。たぶん途中で送ったと呻いてたやつですね。すぐに送ります』
「うん、宜しく。藜に「お大事に」って伝えておいてください」
『はい』
電話口に「これ、つづき」と声が聞こえた。相変わらず、仲がいい。と思いながら再度資料に集中した。
実際に目で見てくるであろう八色の情報と比べる為に頭に入れておくのだ。
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