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第6話
次の日の日曜日も笹倉 叶を見に彼の通う私立中学の文化祭に行った。
丁度その日は雨の日で、俺は自分の黒い傘をさして文化祭へ足を運んだ。
雨の日の笹倉 叶は昨日より憂いを帯びているか……、あんな美少年が雨の日気怠そうな雰囲気だったら絵になるだろう。
そう思いながら、笹倉 叶のクラスに一直線で廊下を歩いた。
「笹倉君の説明って聞きやすいよね」
笹倉 叶のクラスの前で女子生徒が話していた。
「私は昨日も説明を笹倉君からしてもらったけど、今日のほうが聞きやすい……というか、声のトーンがハッキリしてて楽しそうだった?」
「何か良いことでもあったのかな」
頬を赤くしてはしゃぐ女子生徒を横目に俺は笹倉 叶に良いことがあったことを小耳に挟んだ。
なら今日も彼に益々会いたくなった。
「あれ、お兄さん昨日も来てくれてましたよね」
クラスの担任だろう、昨日と同じセンセーだし。
俺はその担任に違う生徒をあてがわれる前に、
「すみません、説明の生徒の指名してもいいですか」
「……ええ、空いてる生徒なら」
「笹倉 叶君をお願いします」
俺は彼に会いに来たんだ、いなかったら待つつもりだったが、カーテンの中からその会いたかった彼が出てきた途端、心を奪われた。
「……指名してくださって、どうもありがとうございます」
そう言って笑った彼がとても綺麗で、俺はもう笹倉 叶に近付くことを辞める決心をした。
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