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第22話
とにかくはこの業者からの荷を受け取って、早々に追い返してしまうしかない。おちおちしていれば、担当者という社員と鉢合わせになってしまう。夜中に社長自らが倉庫に来て、何をしていたんだなどと勘ぐられるのは厄介この上ない。
「お……お疲れ様です。今、正面のシャッターを開けますんで」
社員を装って対応するも、その声はぎこちない。今の今まで冰という獲物を前にして興奮していたばかりの上に、焦燥感が半端ないわけだから、それも当然といえばそうだ。
外の遼二らにもそんな息遣いが伝わったようで、それらを一層煽るかのようにもう一声、元気の良過ぎるような応対で迎え撃った。
「お手数お掛けしてすいません! おーい、担当さん来てたわ! シャッター開けてくれるってから! 車、正面に回してくれ!」
「了解ー!」
高瀬が焦燥感に駆られる中、冰の方は聞き覚えのある声の主にドキドキと心臓を高鳴らせていた。
(まさか、この声――!)
先程から聞こえてくる会話が、紫月の恋人である鐘崎遼二と元オーナーの粟津帝斗のような気がしてならないのだ。
だが、遼二は氷川と共に大阪にいるはずである。帝斗とて、まさかこんな所にいようはずもない。
空耳か、或いはこの状況から逃れたいと思う気持ちが幻聴を引き起こしたわけか――冰は苦笑いと共に、催淫剤によって苛まれた身体の熱に身悶えていた。
幸い傍に高瀬はいない。縛られてさえいなければ逃げ出したいところだが、仮に大声で助けを求めたとして、起爆スイッチを持ち歩いている高瀬を挑発するわけにはいかない。業者の二人まで人質に捕られたりすれば、それこそ関係のない人間を巻き込むことになる。
「く……そッ! は……ぁッ……」
身体の熱はますます上がるばかりだ――
両腕の自由がきかないせいで、高ぶる雄を鎮めようにもそれさえままならない。
「……や……、くそ……ッ……あぁ……」
自然と動いてしまう腰をくねらせながら欲と戦うこの瞬間は、高瀬に陵辱されるのとはまた別の意味での地獄であった。
「……っう、……龍…………ッ」
脳裏に浮かぶのは愛しい男の顔のみだ。
「龍……来てくれよ……今すぐここに……ッ、イキたい……すげえ……イキてえ……! お前ので……」
めちゃくちゃにして欲しい――――!
龍ーーーッ!
冰は欲情に身悶えながら、心の中で愛しい男の名を叫び続けた。
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