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地方人にもっと優しい社会を
いつだって得をするのは東京の奴ら。2番目に得するのは日本三大都市の奴ら。世の中、もっと地方民に気を使うべきだ。
「そんなのど田舎に住む俺らが言ったって仕方ないやろ。」
ツッコミを入れたのは昼食を一緒を共にする友人。友人は目の前の弁当をつつきながら俺の訴えを批判する。
「んなの、わかっとる。でも!でもな!いつだってあいつら得すんだぞ。全国放送のくせに東京にある店しか映さんし、東京の天気は大々的に報じるんよ。東京の飯屋なんて、そう簡単に行けるわけないやろ!東京の天気なんて知らんわ!」
「なら、お前が東京行けばいい話やろ。僻みや僻み。そもそも昨日まで田舎で良かったなんて言うとったのに、何があったんよ。」
「んなの、決まっとる。あの、転校生や‼︎」
思い出す。始業式の今日来た転校生。チャラチャラしとって、ダッサイ制服も着こなしていた。うちのクラスの美少女ゆみこちゃんも、マドンナのはるこちゃんも、目をハートにしとる。これだから、都会人は‼︎
「それこそ僻みやん。」
「うるせぇ。それにな、今週から俺が楽しみにしとったアニメも、東京なら7日にある。なのに、地方では9日からや。これを許していいのか‼︎断じて良くなーい‼︎」
「それに関しては放送してる局の都合やろ。諦めりぃ。そもそも、なんで転校生の話ししてたのにアニメの放送の話になるんよ。」
「だってな、だってな、あいつ、あの転校生が自慢してきたんよ。ありえん。酷かぁ‼︎」
「知らんわ。それにしても、都会人嫌いやのに、よう転校生と話しとるの。」
「それは違う。なんか、くっついてくんの。それに、あいつの目、怖いんよ。なんか、ぞくっとする目。」
あの目は狙った獲物は逃さない狩の目しとった。きっと、ど田舎の男児をとことん虐めて、虐めて、虐めぬいて、都会人のすごさを知らしめようとしとるに違いない。
「ああ、それはなんか分かるわ。今まさにそんな感じ。」
「ひっ、出たっ。」
「ひっ、って酷いよ、幸村くん。まるで化け物にでも出会ったみたいな顔して。かわいいね。」
「かわっ…。これだから東京の、都会人は意味わからんのや。」
「東京は関係ないよ。」
にこにこしてて何考えとるか分からん。きっと、何か悪さを考えてるに違いない。
「そんなに東京が嫌い?」
「嫌いも何も大っ嫌いや。全国放送なら全国をちゃんと特集せえや。東京ばっか映すなし。それに限定品も東京にありすぎや。あとあと、イベントごとも東京開催は絶対あるし。言い出したらキリがない。」
「それは仕方ない事だと思うな。だって東京が一番人口が多いし、何より若者が多いからね。それに、日本の首都だし。」
「あー!言うと思った‼︎でもな、残念ながら東京の人口よりその他の県合わせた人口の方が多いんや。やから、俺と同じ意見のやつは沢山おるん。」
ふっふっふーと、胸を張って威張る。これを言ってしまえば都会人なんて怖くない。なぜなら、言い返せないからだ。
「でも、そこらへんのど田舎で人も殆どいないところより、都会の絶対人が見込めるところでした方が利益があると思わない?」
「ぐぬぬぬぬ…。でもでも、やっぱり地方民に優しくするべきやーい‼︎」
「ぐぬぬぬぬってやっぱり可愛い。」
「収集がつかんくなっとる。おい、転校生。そろそろそいつを揶揄うのやめてもらえる?」
からっ、かってたのか‼︎なんちゅう、酷いことを。許さん、許さんぞ。
「揶揄ってたつもりはないよ。多少虐めてたのは認めるけどね。」
「やっぱり、虐めに来たんや。東京人は怖い〜。」
「それ、偏見だと思うよ。それより、俺まだこの辺分からないから案内してくれない?幸村くんは優しいから教えてくれるよね?」
「あ、当たり前やろ。どんと来い。」
「ふふふ、宜しくね。」
「なんか、乗せられてないか?」
その後、放課後。いれいろ口車に乗せられた俺がいろいろあって、はじめてを奪われたとかなんとか…。
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