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東京人は怖かぁ

はじめてを奪われる数分前ーー 「ここが、区役所や。一応、一通り案内したぞ。これで満足か?」 「うん。ありがとう。…お礼がしたいな。少しうちにやらない?お菓子とかジュースもあるよ。」 「お菓子…、ジュース…。まぁ、少しくらいなら寄ってやらんこともなか。」 「ふふふ。そうだね。」 一瞬、ぞくっとした。気のせいか? 20分程歩いてから、東京もんが建てた一軒家と一時期有名になった家に連れていかれた。と、東京もんはすごかぁ。 「あれ?おかんとおとんはおらんの?」 「ああ、父さんは普通に仕事。母さんは病院。」 「病院て、なんか病気なんか?」 「ううん、産婦人科。もう高校生の息子がいるってのに元気だよね。」 「そうなんか。」 こんなど田舎やけど、たまに若い人が来る。と、行っても都会に出た裏切り者達が子供を産む環境が良いとして一時的に帰ってくるだけや。でも、その時は婆さん達の家に泊まるはず。 「なんで、家建てたん?」 「ちょうど、父さんの会社がこの辺りに営業し始めたからね。まぁ、折角だし別荘みたいな感じで建てようと思ったらしい。」 やっぱり、東京人の考えは意味がわからん。確かに土地の値段は安いけど、簡単に一軒家なんぞ建てられんやろ。 「それより、これジュースとお菓子。好きに食べてね。」 「あっ、ありがと。」 出てきたお菓子とかジュースは普通に見かけるもので一安心。ぱくぱくとポテチを口に放り込む。 「ふふっ、ついてるよ。」 「ふぇ?」 「かわいいね。」 口角についていたポテチのカスを舐めとった転校生。 ひぎゃああああ。 こ、こ、これぞ世に言う都会人の恐ろしさというやつか。ぷ、ぷれ、プレーボーイや。 「何舐めとんよ。お、お、俺のか、か、食べカス…。くち、くち、ペロって。言うてくれとれば自分で取るわ。アホォ!」 「うん、ごめんね。舐めてみたかったんだ。」 「こ、これが東京もんのや、やり方なんか。そうなんか。」 「うーん、幸村くん、本当は東京に憧れてるじゃない?」 「ちがっ、違うに決まってるやろ。それに今はその話関係なか。」 「東京の人がやる事、知りたくない?」 「と、東京人は、俺らがやらんこと、やるんか?」 「そうだよ、まあここで聞かなかったら一生聞けないかもね。」 一生…。東京もんのやること…。き、気にならん。気にならんし。 「いいの?」 「ゔっ、そ、そんなに話したいんやったら話してもいいけど?」 「ふーん、まぁ、いっか。ねぇ、僕の部屋に行こうか。」 「行けば分かるんか?」 「うん、分かる分かる。」 行ったら行ったで運の尽き。 男同士のAVを見せられた後、 「東京の人間は男同士でもヤレるんだよ。」 という言葉を信じた俺は見事にその場でヤラれてしまったとかなんとか。 その後、10年。俺はその嘘に騙され続けることとなる。恐ろしい男に好かれてしまったと知るのもまだまだ先の話。

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