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 そこに同じ小学校から進学した別の友達が現れる。 「一緒に写真撮ろうぜ」 「おぉ、いいぜ。ほら、こっちこっち」  健斗がいいと言ってしまった手前江彦は嫌だと言えず、仕方なく一緒に写真に納まることに決めた。ただそいつの腕が健斗と肩を組もうとしたので平然と叩き落とす。 「健斗に触るな」 「ちぇ、相変わらずだな英」  口を尖らせる友人に呆れた様子で笑う健斗。江彦を怒らないのは慣れたのと少しだけ嬉しいからだった。江彦は基本は誰にでも優しい。ただ健斗が関わると急に独占欲が強くなってきつくなるのだ。  小さい頃から一緒に育ってきた健斗は江彦が唯一わがままを言う相手なので、健斗はそれが可愛くて仕方がなかった。 「もうひこってば何言ってんだよ……ほら、撮るよ!」  笑顔の健斗と友人、仏頂面の江彦が真新しい制服に身を包んで笑う一枚は友人の家でだけ飾られる。

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