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 中学校の入学式、正門前は意外にも人はまばらだ。親との写真を嫌がる子供が増え、子供だけ簡単に済ませて消えていくからだ。  江彦が健斗との写真を嫌がるはずもなく、恒例の写真は今回も無事に撮られた。運動音痴の健斗は意外にもスポーツ観戦が好きだったので、その影響で江彦は野球を始めていた。健斗が見に来てくれることが嬉しくて熱心に練習をしていたら才能が花開き、入学前から勧誘を受けて既に野球部に入ることが決まっていた。健斗は日に焼けた江彦の笑顔が大好きだった。 「健斗制服大きくないか」 「こっから大きくなんだから大丈夫だし! 卒業する頃にはぴったり……ううん、ちっさいくらいだって」  頭一つ身長の違う二人は下手すると兄弟のようにすら見える。仲のいい二人に両家族は幸せでいっぱいだった。

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