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 最後に観覧車に乗ろうと江彦に手を引かれる。考えることは皆同じで、観覧車の前はすごい行列だった。待ってる間も江彦は健斗の手を離さなかった。 「すごい、なんで観覧車だけこんなに混んでんの?」 「もうすぐライトアップだからだろ。あちこちに書いてあったろ、クリスマスのイルミネーションは特別だって」  健斗は遊ぶことに夢中で看板なんてろくに見ていない。見た看板と言えば、待ち時間の書かれたものだけだったからだ。繋いだ手をどうしたらいいのかわからない、それでも離すのは勿体無い気してそのままにしていた。  健斗たちの順番が来て二人でゴンドラに乗り込んだ。少しずつ地面が離れていく。傾くって注意しても江彦は健斗の手を離してはくれず、結局隣に座って少し斜めになったゴンドラから小さくなっていく地上の人たちを見下ろしていた。 「特別なイルミネーションってなに?」 「ああ、そこか。好きな人と観覧車に乗って見ると長続きするんだと」 「すす、すすすすきな人……」

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